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『縁結び』 青空文庫
文金《ぶんきん》の高髷《たかまげ》ふっくりした前髪《まえがみ》で、白茶地《しらちゃじ》に秋の野を織出した繻珍《しゅちん》の丸帯、薄手にしめた帯腰柔《やわらか》に、膝《ひざ》を入口に支《つ》いて会釈《えしゃく》した。背負上《しょいあ》げの緋縮緬《ひぢりめん》こそ脇《わき》あけを漏《も》る雪の膚《はだ》に稲妻《いなづま》のごとく閃《ひらめ》いたれ、愛嬌《あいきょう》の露《つゆ》もしっとりと、ものあわれに俯向《うつむ》いたその姿、片手に文箱《ふばこ》を捧《ささ》げぬばかり、天晴《あっぱれ》、風采《ふうさい》、池田の宿《しゅく》より朝顔《あさがお》が参って候《そうろう》。
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