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 『人魚の祠』 青空文庫

 几帳とも、垂幕《さげまく》とも言ひたいのに、然うではない、萌黄と青と段染《だんだら》に成つた綸子《りんず》か何ぞ、唐絵の浮模様を織込んだのが窓帷《カアテン》と云つた工合に、格天井から床へ引いて蔽うてある。此に蔽はれて、其の中は見えません。
 此が、もつと奥へ詰めて張つてあれば、絹一重の裡は、すぐに、御廚子《みづし》、神棚と云ふのでせうから、誓つて、私は、覗くのではなかつたのです。が、堂の内の、寧ろ格子へ寄つた方に掛つて居ました。

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