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 『五大力』 従吾所好

 其の人々が、膝突合はて、肩を寄合つて取巻いた卓子台の片端に、一人ぐつたりと手を支いて、それでも些と飲〈まゐ〉つたか、耳朶を赤くして、釣船矢右衛門……控へてござる。
 此処へ、……小弥太は勢よく入つたのであつたが。
 顔は合はす、が、仕事が違つて、然まで心易くはないので、つい通りの挨拶する、とすぐに茶の室へ、と思つたが、お縫と並ぶのを見せがましいので、間をおいた、古代八角時計の今でも掛る、柱の根へ座を寄せた。

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