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 『草迷宮』 鏡花とアンティークと古書の小径

 と、法師の脱いで立てかけた、檜笠を両手に据えて、荷物の上へ直すついでに、目で教えたる葭簀の外。
 さっくと削った荒造の仁王尊が、引組《ひっく》む状《さま》の巌続《いわつづ》き、を踏んで突立つ間に、倒《さかさ》に生えかかった竹藪を一叢隔てて、同じ巌の六枚屏風、月には蒼き俤立とう――ちらほらと松も見えて、いろいろの浪を縅した、鎧の袖を〓《しぶき》に翳す。

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