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 『木の子説法』 青空文庫

「――その年の残暑の激しさといってはありませんでした。内中皆裸体《はだか》です。六畳に三畳、二階が六畳という浅間ですから、開放しで皆見えますが、近所が近所だから、そんな事は平気なものです。――色気も娑婆気《しゃばけ》も沢山な奴等《やつら》が、たかが暑いくらいで、そんな状《ざま》をするのではありません。実はまるで衣類がない。――これが寒中だと、とうの昔凍えんで、こんな口を利くものは、貴方がたの前に消えてしまっていたんでしょうね。 

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