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 『草迷宮』 鏡花とアンティークと古書の小径

 それ、肩を越した、ええ、足へ乗っかる。わああ! 裾へ纏わる、火の玉じゃ。座頭の天窓《あたま》よ、入道首よ、いや女の生首だって、可加減な事ばかり。夕顔の花なら知らず、西瓜が何、女の顔に見えるもんです。
 追掛けるのか、逃廻るのか、どたばた跳飛ぶ内、ドンドンドンドンと天井を下から上へ打抜くと、がらがらと棟木外れる、戸障子が鳴響く、地震だ、と突伏《つッぷ》したが、それなり寂《しん》として、静《しずか》になって、風の音もしなくなりました。

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