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 『絵本の春』 青空文庫

 そこら、屋敷小路の、荒廃離落した低い崩土塀《くずれどべい》には、おおよそ何百年来、いかばかりの蛇が巣くっていたろう。蝮《まむし》が多くて、水に浸った軒々では、その害を被ったものが少くない。

 高台の職人の屈竟《くっきょう》なのが、二人ずれ、翌日、水の引際を、炎天の下に、大川添《ぞい》を見物して、流《ながれ》の末一里有余《あまり》、海へ出て、暑さに泳いだ豪傑がある。

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