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 『婦系図』 青空文庫

「だって、だって君、突込んであるんじゃないか、池の坊も遠州もありゃしない。ちっとぐらい抜いたって、あえてお手前が崩れるというでもないよ。」
 とさすがに手を控えて、例の衣兜へ突込んだが、お蔦の目前《めさき》を、(子を捉《と》ろ、子捉ろ。)の体で、靴足袋で、どたばた、どたばた。
「はい、これは柳橋流と云うんです。柳のように房々活けてありましょう、ちゃんと流儀があるじゃありませんか。」

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