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 『草迷宮』 鏡花とアンティークと古書の小径

 波が寄せて、あたかも風鈴が砕けた形に、ばらばらとその巌端《いわばな》に打かかる。
 「あの、岩一枚、子産石《こうみいし》と申しまして、小さなのは細螺《きしゃご》、碁石ぐらい、頃あいの御供餅《おそなえ》ほどのから、大きなのになりますと、一人では持切れませぬようなのまで、こっとり円い、些と、平扁味《ひらたみ》のあります石が、何処からとなくころころと産れますでございます。

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