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 『婦系図』 青空文庫

 謂うまでもなく道徳円満、ただしその細君は三度目で、前《さき》の二人とも若死をして、目下《いま》のがまた顔色が近来、蒼《あお》い。
 と云ってあえて君子の徳を傷《きずつ》けるのではない、が、要のないお饒舌《しゃべり》をするわけではない。大人は、自分には二度まで夫人を殺しただけ、盞《さかずき》の数の三々九度、三度の松風、ささんざの二十七度で、婚姻の事には馴れてござる。

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