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 『婦系図』 青空文庫

 処へ、名にし負う道学者と来て、天下この位信用すべき媒妁人《なこうど》は少いから、呉《ご》も越《えつ》も隔てなく口を利いて巧《うま》く纏《まと》める。従うて諸家の閨門《けいもん》に出入すること頻繁にして時々厭らしい! と云う風説《うわさ》を聞く。その袖を曳《ひ》いたり、手を握ったりするのが、いわゆる男女交際的で、この男の余徳《ほまち》であろう。もっとも出来た験《ためし》はない。蓋しせざるにあらず能《あた》わざるなりでも何でも、道徳は堅固で通る。於爰乎《ここにおいてか》、品行方正、御媒妁人《おなこうど》でも食って行かれる……

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