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『義血侠血』
青空文庫
美人は軽《かろ》く会釈するとともに、その手は帯の間に入りぬ。小菊にて上包みせる緋塩瀬《ひしおぜ》の紙入れを開きて、渠はむぞうさに半円銀貨を投げ出だせり。
余所目《よそめ》に瞥《み》たる老夫はいたく驚きて面《かお》を背けぬ、世話人は頭を掻きて、
「いや、これは剰銭《おつり》が足りない。私もあいにく小《こま》かいのが……」
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