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 『草迷宮』 鏡花とアンティークと古書の小径

 これが反対《あべこべ》だと、旧《もと》の潜門へ押出されます処でございました。強いて入りますほどの度胸はないので。
 式台前で、私は先ず挨拶をいたしたでございます。
 主もおわさば聞し召せ、かくの通りの青道心。何を頼みに得脱成仏の回向いたそう。何を力に、退散の呪詛を申そう。御姿を見せたまわば偏《ひとえ》に礼拝を仕る。世にかくれます神ならば、念仏の外他言はいたさぬ。平に一夜、御住居の筵一枚を貸し給われ……」

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