検索結果詳細


 『薬草取』 青空文庫

「確《たしか》に美女ヶ原というそれでしょうな、何でも躑躅《つつじ》や椿《つばき》、菊も藤も、原《はら》一面に咲いていたと覚えています。けれども土地の名どころじゃない、方角さえ、何処《どこ》が何だか全然《まるで》夢中。
 今だってやっぱり、私は同一《おなじ》この国の者なんですが、その時は何為《なぜ》か家を出て一月余《あまり》、山へ入って、かれこれ、何でも生れてからぬまでの半分は〓〓《さまよ》って、漸々《ようよう》其処《そこ》を見たように思うですが。」

 88/283 89/283 90/283


  [Index]