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『薬草取』 青空文庫
「確《たしか》に美女ヶ原というそれでしょうな、何でも躑躅《つつじ》や椿《つばき》、菊も藤も、原《はら》一面に咲いていたと覚えています。けれども土地の名どころじゃない、方角さえ、何処《どこ》が何だか全然《まるで》夢中。
今だってやっぱり、私は同一《おなじ》この国の者なんですが、その時は何為《なぜ》か家を出て一月余《あまり》、山へ入って、かれこれ、何でも生れてから死ぬまでの半分は〓〓《さまよ》って、漸々《ようよう》其処《そこ》を見たように思うですが。」
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