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 『婦系図』 青空文庫

 玄関に居た頃から馴染の車屋で、見ると障子を横にして眩《まばゆ》い日当りを遮った帳場から、ぬい、と顔を出したのは、酒井へお出入りのその車夫《わかいしゅ》。
 おうと立停まって一言二言交すついでに、主税はふと心付いて、もしやこの頃、先生の事だの、お嬢さんの事を聞きに来たものはないか、と聞くと、月はじめにモオニングを着た、痘痕《あばた》のある立派な旦那が。

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