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『薬草取』
青空文庫
糸のような一条路《ひとすじみち》、背後《うしろ》へ声を運ぶのに、力を要した所為《せい》もあり、薬王品《やくおうほん》を胸に抱《いだ》き、杖を持った手に帽《ぼう》を脱ぐと、清き額《ひたい》を拭《ぬぐ》うのであった。
それと見る目も敏《さと》く、
「もし、御案内がてら、あの、私がお前《さき》へ参りましょう。どうぞ、その方がお話も承《うけたまわ》りようございますから。」
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