検索結果詳細
『草迷宮』 鏡花とアンティークと古書の小径
母親の友達を尋ねるに、色気の嫌疑はおかしい、と聞いて見ると、何《なあに》、女の児はませています、それに紅い手絡で、美しく髪なぞ結って、容《かたち》づくっているから可い姉さんだ、と幼心に思ったのが、二つ違い、一つ上、亡くなったのが二つ上で、その奥さんは一ツ上のだそうで、行方の知れないのは、分らないそうでした。
事が面倒になりましてね、その夫人の親里から、叔母の家へ使《つかい》が来て、娘御は何も唄なんか御存じないそうで、ええ、世間体がございますから以来は、と苦り切って帰りました。
934/1510
935/1510
936/1510
[Index]