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 『草迷宮』 鏡花とアンティークと古書の小径

 事が面倒になりましてね、その夫人の親里から、叔母の家へ使《つかい》が来て、娘御は何も唄なんか御存じないそうで、ええ、世間体がございますから以来は、と苦り切って帰りました。
 勿論病気でも何でもなかったそうです。
 一月ばかり経って、細かに、いろいろ手毬唄、子守唄、童唄なんぞ、百幾つというもの、綺麗に美しく、細々とかいた、文が来ました。

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