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『五大力』
従吾所好
処へ、嘘だと分つたでせう。弁天様は霞と聞いて、それが人も知つた美しいのだ、と云ふだけに、えゝ口惜しい、口惜しいと、難病の遊女は赫と逆上せました。固より心痛のために、気も上ずつて居たつて言ひます……石置場へ沈みました。
と二三日、
死
骸が上らなかつたつて言ふ事です。
霞は湯上りの膚へ、桜の影で、我ながら、姿も心も世に類なく、ほんのりして、其の肱掛窓から、春の暮を視めて居ました。
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