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『活人形』
鏡花とアンティークと古書の小径
高田の下男銀平は、下枝を捜し出さむとて、西へ東へ彷徨《さまよひ》つ。巷の風説《うはさ》に、耳を聳《そばだ》て、道行く人にも其とは無く問試むれど手懸り無し。南を指して走りしと得三の言ひたれば、長谷の方に行きて見むと覚束なうは思へども、比企が谷《やつ》より滑川《なめりがは》へ道を取つて行懸り、森の中を通るとき、木の根を枕に叢《くさむら》に打倒れたる者を見たり。
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