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 『高野聖』 泉鏡花を読む

 思切つて坂道を取つて懸つた、侠気があつたのではござらぬ、血気に逸つたでは固よりない、今申したやうではずつと悟つたやうぢやが、いやなか/\の臆病者、川の水を飲むのさへ気が怯けたほど生命が大事で、何故又と謂はつしやるか。
 唯挨拶をしたばかりの男なら、私は実の処、打棄つて置いたに違ひはないが、快からぬ人と思つたから、其まゝで見棄てるのが、故とするやうで、気が責めてならなんだから、」

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