検索結果詳細
『人魚の祠』
青空文庫
しかし、綺麗に泳いで行く。美《うつくし》い肉の背筋を掛けて左右へ開く水の姿は、軽い羅《うすもの》を捌《さば》くやうです。其の膚の白い事、あの合歓花《ねむのはな》をぼかした色なのは、予《かね》て此の時のために用意されたのかと思ふほどでした。
動止《うごきや》んだ
赤
茶けた三俵法師《さんだらぼふし》が、私の目の前に、惰力で、毛筋を、ざわ/\とざわつかせて、うツぷうツぷ喘《あへ》いで居る。
95/122
96/122
97/122
[Index]