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『草迷宮』 鏡花とアンティークと古書の小径
「どうせ娘の子のする事です。そうまでも行きますまいが、髪を洗って、湯に入って、そしてその洗髪《あらいがみ》を櫛巻きに結んで、笄なしに、紅ばかり薄くつけるのだそうです。
それから、十畳敷を閉込んで、床の間をうしろに、何処か、壁へ向いて、其処へ婦《おんな》の魂を据える、鏡です。
丑童子《うしどうじ》、斑の御神、と一心に念じて、傍目も触らないで、瞻《みつ》めていると、その丑の年丑の月丑の日の……丑時になると、その鏡に……前世から定まった縁の人の姿が見える、という伝説があります。
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