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 『二、三羽――十二、三羽』 青空文庫

 「烏瓜《からすうり》でございます。下闇で暗がりでありますから、日中から、一杯咲きます。――あすこは、いくらでも、ごんごんごまがございますでな。貴方は何とかおっしゃいましたな、スズメの蝋燭。」
 これよりして、私は、茶の煮える間と言うもの、およそこの編に記した雀の可愛さをここで話したのである。時々微笑んでは振向いて聞く。娘か、若い妻か、あるいは妾《おもいもの》か。世にしい女の状《さま》に、一つはうかうか誘われて、気の発奮《はず》んだ事は言うまでもない。

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