検索結果詳細


 『人魚の祠』 青空文庫

 早や、両脚が、むづ/\、背筋がぴち/\、頸首へぴちんと来る、私は七顛八倒して身体《からだ》を振つて振飛ばした。
 唯《と》、何と、其の棕櫚の毛の蚤の巣の処に、一人、頭《づ》の小さい、眦《めじり》と頬の垂下つた、青膨《あをぶく》れの、土袋《どぶつ》で、肥張《でつぷり》な五十恰好の、頤鬚を生した、漢《をとこ》が立つて居るぢやありませんか。何ものとも知れない。越中褌と云ふ……あいつ一つで、真裸で汚い尻《けつ》です。

 98/122 99/122 100/122


  [Index]