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『草迷宮』
鏡花とアンティークと古書の小径
トお茶注《さ》しましょうと出しかけた、塗盆を膝に伏せて、ふと黙って、姥は寂しそうに傾いたが、
「何のお前様、この年になりますまで、孫子の影も見はしませぬ。爺殿《じじいどの》と二人きりで、雨のさみしさ、行燈の薄寒さに、心細う、果敢ないにつけまして、小児衆を欲しがるお方の、お心を察しますで、のう、子産石《こうみいし》も一つ一つ、信心して進ぜます。
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