Boorin's All Works On Sacra-BBS

「サクラ大戦3大予想」



 花の都巴里。
 大神一郎帝国海軍中尉がこの街に着任してから、早一年が過ぎようとしていた。
 時は桜の花盛り。
 テラスでぼんやりとくつろぐ大神の元に運命の使者は訪れた。

「大神中尉ですね」
「そうですが」
「私は賢人機関から派遣されたものです。大至急あなたのお力をお借りしたい事が起きました」
「一体なんでしょう?」
「この国の南に異常な事態が発生しているのです。これを収拾できるのは世界広しといえども大神一郎中尉と帝国華撃団のみなさんしかありません」
「ということは何か霊的な現象なのですね」
「そう思っていただいて結構です」
「一体どういう?」
「それは見ていただくのが一番手っ取り早いでしょう。こちらの車にお乗り下さい。
帝撃のみなさんももうぼちぼち現地に着く頃ですよ」
「みんなが?」

 男は大神を車まで案内するとドアを開けた。
 その中は暗く何かしら禍々しい空気が澱んでいるように思えた。

「どうぞ」

 再度男に勧められて大神は車に乗り込む。
 そして運命の歯車はカチリと音を立てて回った。




「ぐるるるるる、ふぅ〜」
「げきょっ、げきょっ」
「あいっあいっあいっあいっ!」

 南仏の街は突如現れた裸に近い男女の群に大騒ぎである。
 彼らの外見は多少筋骨たくましいと言う点と衣服の点を除けばほとんど人間と変わらない。
 だが、彼らは持っている槍や斧で人間や自動車を追い回している。
 その姿はどう見ても人間とはかけ離れた存在だ。

 現地に到着した大神と花組の面々は再会を祝し合う間もなく、混乱の坩堝の中に投げ出された。

「これは一体どういうことですの?」
「分からない。俺も今連れてこられたばかりだから」
「………これはクロマニヨン人だ」
「何だって、レニ?」
「クロマニヨン人、現世人類の一タイプ。ぼくたちの直接的な先祖だ」
「なぜ、そんなものがここに?」
「分からない」
「とにかく今は行動だ!帝国華撃団出撃せよ!」
「「「「「「「「了解!」」」」」」」」

 花組は光武に乗り込むとクロマニヨン人を掃討しようとする。
 だが、クロマニヨン人はひるむどころか光武に牙をむいてきた。

「ぎゃ〜す!」
「うぃ〜すっ!」
「おいっっす!」

 強固な防御力を誇る筈の光武の機体が見る見るはぎ取られていく。
 クロマニヨンは光武を喰っていた。

「なにっ!奴ら光武を喰ってるぞっ!」
「何てこと。きっと中国人に違いないわっ!」
「こらマリアっ!失礼なことを言っちゃいけないよっ!中国の人が聞いたら泣いて怒るぞ!」
「そやそや大神はん、もっと言うたって」
「あれが中国人なら俺達はもうとっくに喰われているっ!」


「天井でっかい穴っ!」

 どっごおおおぉぉんっ!


「あほかいな、あんたはっ!全然ふぉろーになってへんやないのっ!」
「痛いなぁ紅蘭、何も思いっきりぶつことないじゃないか」
「そこっ!漫才はやめるっ!」
「「あんたが言うなっ!」」

 花組がほのぼのとした会話を続けているうちにクロマニヨンの集団は道路に蹲って何かをしている。

「あ、あの人達絵をかいていま〜す。…あ、うまいで〜す」
「中尉とマリアさんと紅蘭のトリオ漫才の絵ですわ」
「リアリズムの中にも何か宗教的というか呪術的な匂いを感じる」
「まさかあたしたちを狩るつもりなんじゃないですよね」
「十中八九そのつもりだと思う」
「いや〜っ、こわい〜っ」
「へへっ、上等じゃねえか。あたいがぶっ飛ばしてやる」

 カンナはそういうと光武から飛び降りてクロマニヨンに向かう。
 クロマニヨンの人垣が割れる。
 一人の男が尻を掻きながら鼻をほじっている。

「おうっおめえが頭かっ。あたいと勝負だっ!」

 カンナとクロマニヨンの戦いが始まる。
 クロマニヨンにカンナの蹴り、突きが真っ正面から入る。

ぶっ!

 しかしクロマニヨンはふてぶてしく尻を掻き、屁を放る。
 強い。圧倒的につおい!牛をも倒すカンナの攻撃を受けてびくともしない!
 ついに攻め疲れたカンナが地面のでこぼこに足を取られて倒れた。

「ちっ、万事休すか」
「ぎゃひっ、ぐるるるる」

 クロマニヨンはカンナを抱き上げて立たせた。
 そして埃を払ってやる。

ぴん!ぴろりろりろりろりぃぃいん!

「あたい、こんなに優しくされたのは生まれて初めてだ。
あたいはあんたについていくぜっ!」
「カンナっ!」
「悪いな隊長、あたいのことはもう忘れてくれ」
「そうはいかないっ!自分の女をとられて黙ってられるかっ!それが猿山の掟だっ!」

 大神はそう言うとクロマニヨンに詰め寄る。
 牡が相手ならクロマニヨンも容赦はしない。
 両者の気合い修正値が上昇していく。

 大神の筋肉が盛り上がり服が破れる。

「はっ!」

 ポージングを決める。
 ポイントは爽やかな笑顔!

「ぎゃるっ!」

 クロマニヨンもまたポージング!
 背中をみせる例の奴!

「やるなっ!ではこれはどうだっ!」
「がるるるっ」

 二人のポージング合戦は続く。

………
………
………
………
………

 ついにクロマニヨンの体に異変が起きた。
 あまりの気合いに体が耐えきれず巨大化を始めたのだ。

 

 「いかんっ!こうなっては奥の手だ!」

 ♪ぴろりろー

 ずどどどどどっ!
 しゃきぃ〜ん、しゃきぃ〜ん、しゃきぃ〜ん!
「太田斧彦参上!」

「ぎゃひっ?」

 ♪ぴろりろー
 ♪ぴろりろー

 ずどどどどどっ!
 しゃきぃ〜ん、しゃきぃ〜ん、しゃきぃ〜ん!
「清流院琴音参上」

「ぐほぉ」

 ♪ぴろりろー
 ♪ぴろりろー
 ♪ぴろりろー

 ずどどどどどっ!
 しゃきぃ〜ん、しゃきぃ〜ん、しゃきぃ〜ん!
「丘菊之丞参上」

「「「よき、こと、きくっ。薔薇の三連星お呼びとあらば即参上!」」」

「きゅぴっ?」

 大神家の分家、ロケット人間の犬神三人衆の登場だ。

「よく来てくれた。ついに大神の力を開放せねばならぬ時が来たようだ」
「「「御館様っ」」」
「うむ、召神の法を行う」
「「「はっ!」」」

 大神を中心に薔薇の三連星、犬神三人衆は三角形の位置を取る。

「よき」
「こと」
「きく」
「よき」
「こと」
「きく」
「よき」
「こと」
「きく」
 ………
 ………
 ………

 呪文を唱えながら大神の回りを回る。
 すると一天にわかにかき曇り不吉な雷鳴が轟いた。

「「「来たれ!勇者アモンよ!」」」

 大神の家系は元来が魔族。
 先祖の霊をおのが体に呼び込み人と魔の合体した最強の魔人を作り上げるのが、召神の法である。

 でっびぃい〜る!

 体内に悪魔を呼び込んだ大神の体が巨大化し始める。
 そして眩しい閃光とともについに最強の魔人が姿を現した。

「あれはっ」
「あれはぁ!」
「あれはぁ!?」

「「「「「「「「大魔神!」」」」」」」」

 大神 + 魔
=大 神 +魔
=大 魔 神
=大魔神

という基本公式により最強の大魔神が誕生したのだ。

 そして巨大クロマニヨン対大魔神の戦いが始まった。

「はっ」
「ぎょっ」

 またも始まるポージング合戦。
 はたして巨大化した意味はあるのかっ!




 延々と続いたポージング合戦にもついに均衡が破れる時が来た。
 クロマニヨンがポーズを崩したのだ。
 ポージングに関しては、やはりすみれに毎日踊りをしつけられていた大神に一日の長があったようだ。
 すかさず、大魔神はとどめを刺しにかかる。

 両手を天に向けて広げ、会心の笑顔を浮かべる。

「いくぞっ、東京ふれんどぱあく、イシヅカスマイル!」

「ぎゃひぃいいいっ」

 そして死闘に幕は下りた。

 崩れ落ちたクロマニヨンを大魔神が助け起こす。

「ないすぽ〜ず」
「ぐるっげひゃひゃっ」

 お互いの健闘を讃え合い、二人は固く抱き合った。
 ………
 そして………
 別れの時は来た。

 一族を引き連れ海に消えていくクロマニヨン。
 大魔神はその後ろ姿を見送りながらいつまでも手を振るのであった。

(完)


近日発売「サクラ大戦3〜敵の名は黒魔弐四〜」
太正桜にクロマニヨンの嵐!
「君は時の涙を見る」
乞うご期待!
♪ちゃらっちゃらっちゃらっ

#サクラ3のストーリーは多分こうなるんじゃないかという私なりの予想です。
#よろしければ皆さんのご意見をお聞かせ下さい。







#予想その弐




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