第1回定期
  J.S.バッハ/教会カンタータ全曲シリーズ I
    〜愛する神の摂理にまかせ〜 


'92/6/30  19:00  カザルスホール 


J.S.バッハ/教会カンタータ

   《ただ愛する神の摂理にまかせ》 BWV93
   《われ汝に呼びかけん、主イエス・キリストよ》 BWV177
   《喜べ、救われし群れよ》 BWV30


指揮:鈴木雅明

独唱:栗栖由美子(S)、雁部伸枝(A)、畑儀文(T)、水野賢司(B)

合唱と器楽:バッハ・コレギウム・ジャパン

    コンサート・ミストレス:若松夏美

    通奏低音:鈴木秀美(チェロ)、西澤誠治(ヴィオローネ)、堂阪清高(ファゴット)、
           鈴木雅明(チェンバロ)、今井奈緒子(オルガン)


【コメント】
 記念すべき第一回の定期演奏会。当日まず驚いたことが、プログラムを売っていなかったこと。しかしご安心、ホールの中に入るとなんとすべての座席の上にプログラムとチラシが置いてあったのである。このような形は第5回定期まで続けられた。今となっては考えられない(?)方法だが、後日伺ったところによると、全席売り切れていたのでそれなら置いておこう、ということだったらしい。演奏も、それほどの注目を浴びてスタートしたシリーズの幕開けにふさわしい、熱気にあふれたものだった。
 1曲目のBWV93は、まだ硬さが見られたものの、コラール・カンタータの醍醐味を堪能させてくれた。つづくBWV177では徐々に雰囲気も和らぎ、すっきりとした響きで音の綾を聴かせてくれた。そして最後のBWV30。喜びの爆発の躍動感としみじみした味わいの交錯した熱いメッセージが深く心に迫ってきた。意欲に満ちた素晴らしいスタートだった。
 ちなみに、鈴木雅明さんによれば、当時はまだ簡潔なコラールで演奏会を閉じることに違和感を持っていて、華やかな冒頭合唱曲の再現で終わるBWV30をメインに持ってきた、という意味もあったとのことでした。(矢口)

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