東京オペラシティ コンサートホール
  オープニングシリーズ
  BCJ “J.S.バッハ/クリスマス・オラトリオ(2)”


'98/1/10  18:00  東京オペラシティコンサートホール:タケミツメモリアル


J.S.バッハ/クリスマス・オラトリオ BWV248 ( IV〜VI部)〈新年〉


指揮:鈴木雅明

独唱:モニカ・フリンマー(S)、米良美一(CT)、
    ゲルト・テュルク(T/福音史家)、ペーター・コーイ(B)

オブリガード:マルセル・ポンセール、北里孝浩(オーボエ、オーボエ・ダモーレ)、
        島田俊雄(トランペット)、寺神戸亮、若松夏美、高田あずみ(ヴァイオリン) 

合唱と器楽:バッハ・コレギウム・ジャパン (全出演者リストはこちらです。)

    コンサートマスター:寺神戸亮

    通奏低音:鈴木秀美(チェロ)、桜井茂(ヴィオローネ)、堂阪清高(ファゴット)、
           鈴木雅明、今井奈緒子(オルガン)  


【鈴木雅明さんによる「ご挨拶」】

BACH CollegiumJAPAN
クリスマスオラトリオ

歓呼の声を放て,喜び踊れ,
いざ,この日々をば讃えよ。
(杉山好訳 第1曲)

  輝かしい太鼓とラッパの響きが鳴り渡るクリスマスがやってきました。 
  皆様,クリスマスおめでとうございます。

 バッハは,太鼓よとどろけ,ラッパよ響け(BWV214)を転用して,このクリスマスオラトリオの幕開けとしました。太鼓とラッパは,如何にもクリスマスにふさわしい響きに違いありません。しかし,輝かしい序曲が終わると,場面はすぐ,みすぼらしい馬小屋に転じます。馬小屋の飼葉桶に横たわるみどり児イエス。
そう,クリスマスは,このイエスキリストとの出会いの日なのです。バッハは本来6日間にわたって,1部ずつ演奏されるこのオラトリオを通して,己が心とイエスとの出会いを描き出したのでした。いたるところに用いられたコラールが,バッハに重なる私達の思いを歌います。

 ああいかにして私はあなたをお迎えすればいいのでしょう(第5曲)。私を憐れみ,我が心のうちに住まわれるイエス(第9曲)。その心の部屋は,王侯の広間ではなく,馬小屋にも劣る暗い穴ぐらに過ぎません(第53曲)。しかし,王権の象徴たる太鼓とラッパに伴われたイエスがひとたび入られると,その心は千万の太陽もかくや,と光り輝くのです(同)。
 闇に差し込む一条の光を巡って繰り広げられるバッハのページェント。さあ,演奏会場に,ではなく,私達の心の中に鳴り響く絵巻物の始まりです。

差し出でよ,おお美わしき朝の光よ
しかして天空にあかつきを呼べ!
このか弱き嬰児こそ
我らの慰めにして喜び
ついに平和を来らせたもう君なれ。
(第12曲より)

バッハコレギウムジャパン音楽監督
鈴木雅明

(オリジナル掲載、97/12/18)


この日一日の出来事を、AHさんがレポートしてくれました! こちらをご覧下さい。


【コメント】
 

【各曲について】

第IV部 御子の割礼と命名の祝日(1月1日)用 《感謝し、讃美してひざまずけ》
第V部 新年後の主日用 (1735年の初演時には1月2日) 《栄光あれと、神よ、汝に歌わん》
第VI部 顕現日(1月6日)用 《主よ、高慢な敵がいきまくとき》

VIVA! BCJに戻る
これまでの演奏会記録に戻る