【鈴木雅明さんによる「ご挨拶」】
BACH CollegiumJAPAN
クリスマスオラトリオ
輝かしい太鼓とラッパの響きが鳴り渡るクリスマスがやってきました。
皆様,クリスマスおめでとうございます。
バッハは,太鼓よとどろけ,ラッパよ響け(BWV214)を転用して,このクリスマスオラトリオの幕開けとしました。太鼓とラッパは,如何にもクリスマスにふさわしい響きに違いありません。しかし,輝かしい序曲が終わると,場面はすぐ,みすぼらしい馬小屋に転じます。馬小屋の飼葉桶に横たわるみどり児イエス。
そう,クリスマスは,このイエスキリストとの出会いの日なのです。バッハは本来6日間にわたって,1部ずつ演奏されるこのオラトリオを通して,己が心とイエスとの出会いを描き出したのでした。いたるところに用いられたコラールが,バッハに重なる私達の思いを歌います。
ああいかにして私はあなたをお迎えすればいいのでしょう(第5曲)。私を憐れみ,我が心のうちに住まわれるイエス(第9曲)。その心の部屋は,王侯の広間ではなく,馬小屋にも劣る暗い穴ぐらに過ぎません(第53曲)。しかし,王権の象徴たる太鼓とラッパに伴われたイエスがひとたび入られると,その心は千万の太陽もかくや,と光り輝くのです(同)。
闇に差し込む一条の光を巡って繰り広げられるバッハのページェント。さあ,演奏会場に,ではなく,私達の心の中に鳴り響く絵巻物の始まりです。
(オリジナル掲載、97/12/18)
この日一日の出来事を、AHさんがレポートしてくれました! こちらをご覧下さい。
【各曲について】
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