東京オペラシティ ヴォイス/VOICE=声 シリーズ
  BCJ “モンテヴェルディ/聖母マリアの夕べの祈り”


'99/12/23  15:00  東京オペラシティコンサートホール:タケミツメモリアル


モンテヴェルディ:6声のミサ《イエスがこれらのことを言いたもうた時》 (1610)
モンテヴェルディ:《聖母マリアの夕べの祈り》 (1610)


指揮:鈴木雅明

独唱:鈴木美登里(ソプラノ)、野々下由香里(ソプラノ:ミサのみ)、緋田芳江(ソプラノ:ヴェスプロのみ)
    波多野睦美(アルト)、穴澤ゆう子(アルト:ミサのみ)
    ゲルト・テュルク(テノール)、ステファン・ヴァン・デイク(テノール)、谷口洋介(テノール:ヴェスプロのみ)
    ステファン・マクラウド(バス)、小笠原美敬(バス )

合唱と器楽:バッハ・コレギウム・ジャパン、コンチェルト・パラティーノ (全出演者リストはこちらです。)
       *コンサートマスター:若松夏美


 1610年、《聖母マリア・・・》と同時に時の教皇パウルス5世に献呈された《無伴奏ミサ曲》を共に演奏いたします。当時の伝統的なポリフォニー作法に厳密に則った《ミサ》、バロック時代の幕を開く 新しい表現への溢れんばかりの意欲に満ちた《夕べの祈り》という、一人の天才による、全く異なった二つの傑作を聴きながら、ともに新しい時代を迎えましょう。 (チラシ掲載文より)

  *『聖母マリアの夕べの祈り』入門には
   「京都クラウディオ・モンテヴェルディ合唱団」HP内のこちらをご覧下さい
"Vespro"って何?
  こちらにも「聖母マリアの夕べの祈り」の解説があります!

      「6声のミサ」リハーサル風景 
  左から、鈴木美登里、野々下由香里、波多野睦美、
       G.テュルク、S.V.ダイク、S.マクラウド 
       オルガンは今井奈緒子
     (撮影:三浦興一氏 *ヴィオローネの写真も)
     
 ヴィオローネ(8フィート)
フレットがついているのが見えますでしょうか。ちなみに弓は秀美さんのバロック・チェロ用のものを使われたそうです。
大入り袋!

 なかなかの盛況でした。

【コメント】
 オペラシティ文化財団の主催によって'97年「クリスマス・オラトリオ」、'98年「メサイア」と続けられてきたBCJによるクリスマス・コンサート・シリーズの最終回。今回も会場は大入りで、その名のごとく「大入り袋」が関係者に配られる盛況となった。
 '99年の「ヴェスプロ」は、12/11の横浜公演(音楽堂ヴァージョン)、12/18の神戸公演(同一プログラム)に続き3回目になるが、その間に神戸でレコーディングが行われた。レコーディングでもミサ曲を取り上げ、さらに、コンサートでは演奏されなかった「ヴェスプロ」の小規模な方の「マニフィカト」も収録されたとのことで楽しみである。(出版譜に載っているものをそのままCD化するというコンセプトとのこと。よってCDでもアンティフォナは演奏されない。鈴木雅明さんによれば、本当にぴったり当てはまるアンティフォナは歴史的なものからは見つけだせない、とのこと。)
 コンサートの方も、そのレコーディングでの曲の掘り下げが活かされ、完成度の高い演奏になっていたと思う。
 実力派ソリストの競演となったミサ曲では、起伏に富んだ音の綾を楽しめた。終演後鈴木雅明さんが、「伝統的なポリフォニー作法の中にモンテヴェルディらしい“歌”が見え隠れするのが演奏していて面白かった。」とおっしゃっていたのが印象的であった。伝統的な手法での作曲の腕をモンテヴェルディが示そうとして曲集に盛り込んだこの曲が、抑えきれない彼の歌心を逆に伝えてしまうとは!
 続く「ヴェスプロ」は、途中、詩編147編による合唱曲のあとの短い中断をはさんで、約80分の全曲が通して演奏された。上品で味のあるオーケストラに、しなやかな愉悦と極上の華やかさを添えたコンチェルト・パラティーノの演奏には、どんなに賛辞を送ってもきりがないほど。 私の聴いた2階席正面の1列目では、満足のいくバランスで合唱と器楽が響きあっていた。ミサ曲では抑え気味だった躍動感と情感を解放した力演であったと思う。  (00/01/03)


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