《BIS、バール社長インタビュー!『BCJとの出会い』》


 この9月に創立25周年を迎えるBIS。9月12日には本国スウェーデンで小川典子らを迎えたガラ・コンサートも行われるようです。(BCJは東京定期の当日です!)
 そんなBISのまさに“顔”であるバール社長のインタビューがアメリカの音楽情報誌「ファンファーレ」の最新号(「Fanfare」 March/April号)に掲載されました。
 その興味深いインタビューの中から、BCJとの出会いに触れた部分を、BCJ賛助会員の山崎さんが訳して下さいましたのでご紹介いたします。山崎さん、ありがとうございました。 (98/08/18)


 ・・・・で、これからの計画は?
「今この日本モノに入れ込んでましてね。日本にはずいぶんたくさんの音楽があふれてますけど、[日本の外では]誰にも知られないまま、録音してくれと叫んでいただけなんです。では私たちがやってみようかと。」

 でも‘日本モノ’に出会ったのにはどんなきっかけが?
「まぁ、照れずに言えるのはこんなところです。バッハ・コレギウム・ジャパンは文句無しに世界クラスのバロック・オケと合唱団ですが、彼らはCDに何か入れようと決めたんですね。それで、マネージャー(訳注:察するに武田さんのこと)に言って、いろんなレコード会社のを聴きまわって、音質とか、作る値打ちとかいろいろな面でどこが一番いいか調べさせたと。それに彼はもともとBISの大ファンで、自分でもBISのCDをたくさん持っていたんですね。自分たちの録音をするならBISが世界で一番だと心に決めて、それで、彼は私のところに手紙とテープを送って、ウチでバッハの録音をぜひやりたいと言ってきたんです。
 私も、やはり、世界中のみんなと同じリアクションでしたね。つまり、「オイオイ、日本人がバッハやるって?本気か、まったく」。テープを聴いてみました。送ってきたのは、バッハじゃなくて、シュッツとか昔のベネツィア楽派の音楽とか(編注:「横浜のフィリア・ホールで演奏したシャインの“イスラエルの泉”を送ったはず」と武田さんがおっしゃっていました)でしたけど、実にいい演奏でした。実際、ツィンク(トランペット)吹きは、世界一間違いなし。こんなツィンク演奏は聴いたことありませんでした。モダンのトランペットみたいに聴こえるんですが、古めかしい音なのに技術のよどみないことは信じられないくらいで。
 まぁ、レコーディングでやることなら私は判ってますから、それで日本に行って彼らの実演がどうかとか、録音するホールを見たりして確かめた方がいいと思いましてね。彼らがどうぞって言ったので、日本に飛んでいって、会って、話してみて判りました、やはり自分たちで言うだけのいい音出してる、それに神戸にはすごくいいホールがあるな、と。それで決めたんです、よし、やってみようと」。

では、これはバッハのカンカータ全集になる?
「いやぁ、バッハの全曲ですよ、ほんとに」。

バッハのすべて?
「ええ、そうなんです受難曲も器楽曲も全部含めて。少し時間はかかりますが。優にCD100枚は超えますしね。15年から20年くらいでしょうか。でも彼らときたら、それだけで満足していないんですよ。ブクステフーデもやる、シュッツもやる、ヴィヴァルディもやる、アーレもやる、ヘンデルもやる、その他もろもろもいっぺんにやる。さらには指揮者本人が鍵盤楽器作品全部をやってるところです。オルガン音楽だけは除いてね。ウチはもう既に別でやってしまっていますから。」・・・・


VIVA! BCJ