「せっかくだから食べれば?腹減ってんだろ。響谷家のシェフの料理が口に合わないアルディ家の御曹子君」
からかうように言った和矢君を、シャルルは少し睨んで、和矢君を退散させてしまいました。
あなたは気を取り直して
「シャンパンと、意外と合うんですよ」
「…知ってる」
ひったくるようにイチゴをひとつつまんで行ってしまうシャルルを追おうとして、あなたは持っていたトレイを手近のテーブルにガチャンと置きました。しかし、置いたと思ったそこは大きな花瓶用の小さなテーブルでした。
ぐらりと倒れそうになった大花瓶を、あなたは必死で抱き止めました。
花瓶の中の水がバチャンと音を立てて、そのまま正座に座り込んだあなたにかかりましたが、割れるよりマシです。
シャルルが水音に振り返り、目が合いました。その無表情にあなたは思わず、きゅっと花瓶を強く抱きしめました。
「…っ」
花瓶にたくさんいけられたバラの花に顔を埋めてしまって、あなたは頬にチクッと痛みを感じました。
「刺さったか」
すばやくシャルルがあなたの前にひざまづいて、ひんやりとしたその指先で頬に触れてきました。
あなたはカアァと赤面してしまって、頬からほんの少し、血がにじむのを感じました。そして
