寒さと緊張のため、少しうわずった声で言ったあなたに美女丸君はふっと目元だけで笑みを浮かべて
「そんな柔な鍛え方はしてない」
とのたまうのでした。かと言って彼を閉め出すわけにはいかないし、カーテンを暴れさせておくわけにもいかないしで、あなたは美女丸君を中に入るよう説得しようとしました。
「なにもパーティー中に鍛えなくてもいいと思いますけど」
「いいんだ。ここで」
「なんでっ」
寒いのに!と続けようと美女丸君に向き直ったあなたは、切なげにゆがんだ彼の顔に言葉を失ってしまいました。
先ほどから彼がじっと見上げている左上方に視線を移せば、そこは、かの池田麻里奈嬢が眠る部屋。
「ここが、いいんだ」
繰り返す彼に、あなたはいたたまれない気持ちになりました。冬の寒さと似た、厳しい想いに身を浸す彼の、冷えきっているだろうその身を少しでも和らげたいとも思いました。そして
