Harmonica virtuoso |
1927年7月のセッションでは、ヒルビリーのTHE JOHNSON BROTHERSと共演しているが、CHARLES JOHNSONがバックをつけている"POT LICKER BLUES"では、ギターが曲のコード進行に対応できておらず、彼らが日ごろから共演していたわけではないことが明らか。おそらく、レコーディングセッションでたまたま居合わせたという程度の関係だったと思われる。
とはいっても、ヒルビリーのハモニカの定番"BAY RUM BLUES"やワルツの曲"SWEET BUNCH OF DAISIES"をレパートリーにしているように、ヒルビリーとも活動のフィールドが近かったであろうことは十分に想像できるところだ。
また、その一方で、当時既に過去の人になりかかっていたとはいえ、ジャズ系のハモニカ吹きであるROBERT COOKSEYとともに"EL WATSON'S FOX CHASE"を吹き込んでいるなど、レパートリーだけでなく、日ごろの活動フィールドも多岐にわたっていたことが想像される。
音色としては、オクターブ奏法の多用と、太く豊かな低音が印象的。技術的にも相当に高度で、例えば、汽車真似の"NARROW GAUGE BLUES"をじっくり聴いてみると、どこで息を継いでいるのか全くわからないことに気づく。(汽車が走っているところは吹音の連続。)
参考音源(兼参考文献)
Bristol, Tenn. , 28.July.1927
Bristol, Tenn. , 28.July.1927
New York City , 7.May.1928
THE SOURCES
生年など不詳。1927〜28年に数曲の録音が知られているハモニカ芸人。芸域は非常に広く、ブルーズ、汽車真似("NARROW GAUGE BLUES"1928年)からワルツまで何でもこなす。
なお、この曲では、コードの後に、リードの残響音が非常にきれいに残っている。おそらくこれは、ハモニカのボディー(正確にはプレート)を歯でしっかりと咥え、頭蓋骨全体を共鳴させる技を使ったもの。ジューズ・ハープなどの原理だが、ハモニカで使われるのはあまり聴いたことがない。
* on DOCD5100
EL WATSON, featured h. with THE JOHNSON BROTHERS ;CHARLES JOHNSON, PAUL JOHNSON, v duet/g duet 39729-3 THE SOLDIER'S POOR LITTLE BOY EL WATSON, h solo; acc. CHARLES JOHNSON g -1 39732-2 POT LICKER BLUES -1 * 39733-2 NARROW GAUGE BLUES * EL WATSON, h solo/sp -1; acc. ROBERT COOKSEY, h -1/sp -1; unknown bones -2; WATSON or COOKSEY, v effects -1 43952-2 EL WATSON'S FOX CHASE -1 * 43953-2 BAY RUM BLUES -2 * 43954-2 SWEET BUNCH OF DAISIES * 43955-2 ONE SOCK BLUES *
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