Harmonica virtuoso
Who's who!!
by
Boogie Woogie

ROBERT COOKSEY

1920年代中頃に、ニューヨークを活動の中心に、ギターのBOBBY LEECANとともに、比較的大量の録音を残したハモニカ吹き。1926年2月のTHE NEW YORK TIMESに当時32歳の彼が火災に巻き込まれたとの報道があったことが明らかにされており(DOCD5279のライナー参照)、このことから、1894年生まれと推測されている。ちょうどNOAH LEWISWILL SHADEらと同世代ということになる。

レパートリーはポップソング、ブルーズなど非常に多様。演奏のスタイルとしては、1stポジション2ndポジションいずれであっても一貫して高音の細かい音符割りで音を紡いでいくというもの。しかも、音の立ち上げを強く、その後ふっと力を抜く、いってみれば非常に軽い奏法ともあいまって、聴き手にアクを感じさせることがない。反面、どこが聴きどころなのかよく分からないということを感じないでもないが...。しかし、特に1926年以降の録音においては、テクニック的にもかなり高度なフレーズをバンバン繰り出しており、じっくり研究してみる価値がありそうだ。

レコーディングキャリアの開始は非常に早かったと推定され、1924年4月に女性ブルーズシンガー、VIOLA McCOYの"WEST INDIES BLUES"のバックが彼であるとされている。これは、DADDY STOVEPIPEの"SUNDOWN BLUES"に約1月、STOVEPIPE No.1の"LORD DON'T YOU KNOW I HAVE NO FRIEND LIKE YOU"に約4月先行するもので、ハモニカを使ったブルーズ曲のレコーディングとしてはおそらく最初期のものの一つということになる。

ただこの時の演奏のできはというと、"?"で、とにかくハモニカの音程が不正確なのが痛い。Cのブルーズでピアノ、バンジョーをバックにソロをとったはいいものの、ハモニカがかなりフラットしてしまった。後年の録音では華麗なラインを惜しげもなく披露するCOOKSEYらしからぬ演奏だといわざるをえないが、COOKSEYがハモニカを吹いているものとして(注)、この原因を大胆に推測すれば、

  1. ピアノのチューニングが高かった。(現代ではよくあること。)
  2. なぜか、COOKSEYがこの時に限って力んでしまった。(ハモニカの高音域吹音は力むと音程が下がる。)
といった理由が考えられる。音色も不自然にゆがんでいることを考え合わせると、どうも後者らしい。当然、電気吹き込み以前のことなので、相当に大きな音が要求されたはず。アカンパニストに負けるもんかと思ったら力んでしまったということだろうか。ついでにこのことから、このプレイヤーは、当時、ストリートで流していた芸人ではなかったということを推測してしまおう。往来でハモニカを吹くためには相当な音量を常に出せることが必須だからだ。

注)"Blues and gospel records 1890-1943"によれば、"WEST INDIES BLUES"のハモニカ吹きはunknownに整理されているがここではDOCD5279の見解に従う.

参考音源(兼参考文献)

BOBBY LEECAN & ROBERT COOKSEY 1926-1927/MSE1010
PAUL OLIVER氏のライナーあり。

BOBBY LEECAN & ROBERT COOKSEY VOL.1 1924-1927/DOCD5279
BOBBY LEECAN & ROBERT COOKSEY VOL.2 1927-1928/DOCD5280

1924年のVIOLA McCOYのバックをつけた録音から、1928年のEL WATSONとのハモニカデュオによるキツネ狩りまで。






go previous

back to the top-page

ご意見ご感想は、 boogie@mve.biglobe.ne.jpまで