2 ストレートハープ(1stposition)
・ストレートハープ(1stposition)とは、曲のキーそのままのハーモニカを選ぶことをいう。例えばAのハーモニカでAの曲を演奏することになる。このポジションでのスケールを見てみよう。
fig.2 1stposition "E" on "E"
・上図は、EのハーモニカでEのダイアトニックスケールを吹いたところを表している。(緑の円がルート音を示している。)とりあえず足りない音はなさそうだ。EのブルーズセッションにEのハーモニカで突撃してみよう。
・ときに、ブルーズでは所謂マイナー・ペンタトニックスケールが使われることが多い(以下単にペンタトニックスケール)。このスケールに乗せて演奏するととりあえずカッコがつくという奴だ。(さらにマイナー3rdとメジャー3rdの間の音、ブルーノート3rdが表現できれば無敵とされる。)
fig.3 1stposition "Em pentatonic" on "E"
・ありゃりゃ、音がないところがある(青の円)。このように、中域のオクターブに必要な7thの音(上図では、3弦の7フレット)とマイナーの3rdの音(上図では、5弦の10フレット)の音が出ないのだ。低域のオクターブではマイナーの3rdの音(上図では、6弦の3フレット)だけが足りない音になる。さらに、一番頼りになる高域のオクターブでは吹音8、9、10番のベンドが必要だが、このベンドを一発で美しく決められるのは、あなたが超絶テクニシャンでない限りC以下(ハーモニカのキーはGが最も低く、F#が最も高い。)のキーに限られる。
・ブルーズのハーピストがファーストポジションを使う場合、大抵キーがG、A,Bフラットのいずれかで、高域オクターブのピーピーした音と低域オクターブの地を這うような音だけが交互に出てくるというのはこういうわけだ。
・さて、キーは?と尋ねたらEだといわれたのに、始まってみたらどうもマイナー臭いということもよくある話。EはEでもEmだったのだ。それでも頑固なあなたは手に持つEのハーモニカで乗り切ろうと思っている。さてどうなるかだ。
fig.4 1stposition "Em" on "E"
・こりゃひどい。足りない音だらけだ(青の円)。特に、中、低域でマイナー3rdが出せないのはつらい。また、中域で、7th(3弦の7フレット)が出ないのもハンディになる。高域はマイナーの6th(1弦の8フレット)を出すことができない。
・つまり、この場合はできるだけ高域と低域のオクターブをうろうろして誤魔化すというのが正解であろう。裏技としては、中域のマイナー3rdは裏声でフェ〜とうなって代用するという手もある。ただし、1回のソロに1〜2回以上使うと馬鹿だとおもわれるので、繰り出すタイミングを間違えると上がっていったラインが帰ってこないなんてことも起こるから注意したいものだ。