Harmonica tips

ハモニカを骨の髄までしゃぶる法

<その2>

3 クロスハープ(2ndposition)

・クロスハープ(2ndposition)とは、ハーモニカのキーの5度上(4度下)の曲を演奏することをいう。例えばCのハーモニカでGの曲を演奏することになる。
とりあえず、対照表を確認して欲しい。

2ndposition
SONGCDbDEbEFF#GAbABbB
HARPFF#GAbABbBCDbDEbE

早速、このポジションでのスケールを見てみよう。

fig.5 2ndposition "B" on "E"

・上図は、EのハーモニカでBのダイアトニックスケールを吹いたところを表している。(緑の円がルート音を示している。)中音域のメジャー7thの音(上図では、4弦の8フレット;青の円)がないことに注意。メロディーの中で、この代わりに5番吸音の7thの音を間違えて出してしまうと、とても悲しい気持ちになる。どう考えても「とちりました」という音が響きわたるからだ。続いてペンタトニックスケールを見てみよう。

fig.6 2ndposition "Bm pentatonic" on "E"

・このように、低音域、中音域は全てカバーされている。ただ、高音域に上がっていくと、必要なマイナーの3rdの音(上図では、3弦の7フレット)の音が出てこない。一方、低音域、中音域は聴かせどころとなるマイナーとブルーノートの3rd、5th、7thといった音が全て吸音となるため、ベンドを絡めた豊かなニュアンスを表現することができる。

・最近になるまで、7番以上の高音域がブルーズであまり使われなかったのはこのため。近年、7、8番吸音を「急いで通り抜ける」という技法が開発され、一部で流行した。

・ところで、5番吹音は、Bのスケールのメジャー6thに当たる。この穴は、マイナーブルーズでは、禁じ手とされ、不用意にこの穴に近づいたプレイヤーは痛い報いを受けることになる。

fig.7 2ndposition "Bm" on "E"

・このように、マイナースケールでは、マイナー6thが使われるが、その音はというと、出すことができない。その代わりにメジャー6thを不用意に使ってしまった場合、これは、結構,間の悪い感じの音が響くことになる。(メロディックマイナースケールの6th。ただしメジャー7thが出ないので、スケールが完結しない。)このマイナー6thを使えないというハンディは、通常、2、3番吸音のベンドから4番吸音(7th、マイナー3rdから5th)までが半音刻みで全て出せるというメリットを活かしたはったりによって、ごまかされることが多い。

3−2 クロスハープの活用法

・以上見てきたように、クロスハープはブルーズを吹く限り無敵。メジャー曲、マイナー曲もそれぞれ、中音域でメジャー7th、マイナー6thが出せないことに注意すれば、そこそこ吹ける。

・ブルーズの参考曲は星の数ほどあるのであえて挙げないが、ブルーズをタンブロックで伴奏しながら吹く楽しさが分かる曲を1曲だけ。

"Up Coutry Blues"by De Ford Bailey ;1927

曲のキーはE。ソロハープ。同じことを繰り返しながらテンションをあげていく見事さに圧倒される。収録CD"Harp Blowers(1925-1936)";DOCD-5164

・マイナー曲に使うと、どうしてもハードなイメージになってしまうので、賛否はあるところなんだけど、アイディアがちりばめられているものとして、(これだけ録音が新しいです)

"Summertime"by the Ford Blues Band ;19??

ハーモニカはマーク・フォード。白人ハーモニカ吹きの中でもベテランの域。ごりごりのアンプリファイド・ハープの印象があるけれど、この曲は珍しく生ハープを使用。曲のキーはAm。収録CD"Got Harp,If you want it!";BRCD-111。

・次のページは、順番どおりサードポジション(3rdposition)だ。暗いのは苦手なんだけどと思っているあなた。捨てたもんでもないですよ。

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