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Jug Band Blues

Review ジャグバンドならこの一枚から

YAZOO1054
clifford hayes
and
the dixieland jug blowers
yazoo1054

アールマクドナルドのジャグばかり聴いてしまうこのレコード、クリフォードヘイズはリーダーのくせに実に存在感の少ない人である。どうもバイオリンを弾いているらしいがこの時期のバイオリンといえばやはりおすすめはジョージア出身のスキレットリッカース(skillet lickers)ですね。これはカウンティセールスからcdがでてます。

さらにサイドマンに目を向けるとアールハインズが4曲もきけるのがうれしい。ハインズと言えば28年のサッチモとのシカゴでのオーケーセッションでしょう。こっちはクラッシックスからルイアームストロング1928ー29というちょうどいいcdがでてます。

さてアールマクドナルドのジャグが聞ける曲と言えばカントリーの原点ジミーロジャースの31年ルイビルセッションでのブルーヨーデル#11(マイグッドガールズゴーンブルーズ)があげられるのである。こっちは伴奏としてルイビルジャグバンド名義でクレジットされてるが、なんとこのレコードは2700枚しか売れなかったようである。27年のブルーヨーデル#1(Tフォーテキサス)は47万枚もオリジナルで売れたのにこのセールスはあまりに寂しい。やはり恐慌後というのと、30年に入ってラジオの所持率が蓄音機のそれを超えたことがレコード会社に与えた打撃がいかに大きかったかがわかろうというものだ。

そしてぱっとしない人たちは全く録音の機会がなくなってしまいジャグバンド、ヒルビリーといったプリミティブな音楽は30年からはいい録音が少なくなってしまうのであった。

(T.Iwasaki)


注釈

  1. アールマクドナルド ケンタッキー州ルイビルが生んだ最強のジャグ吹き。営業にも熱心だったとみえて、ウイスキー会社の宣伝バンドをやったりもしている。クリフォードヘイズとは違ってギャラの払いもフェアだったらしいし、なかなかの顔役だったようですな。

    ちなみに、このCD/LPでは6曲で彼のジャグを聴くことができますが、特徴的な、どぎつい低音を堪能できるのは、1931年のルイビルセッションからの2曲(A5、B1)でしょう。詳しくはこちら

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  2. このレコード ちなみに収録14曲の内訳は、1927年6月のDixieland Jug Blowers名義の吹き込みが4曲、1928年5〜6月のClifford's Louisville Stompers名義の吹き込みが4曲、1929年2月の同じくClifford's Louisville Stompers名義の吹き込みが4曲、1931年6月のBen Ferguson名義の吹き込みが2曲となっている。

    詳細なデータは次のとおり。

    A1 You'd better leave me alone, Sweet Papa

    Dixieland Jug Blowers
    Chicago 6/June/1927
    Hense Grundy, tb; George Allen, Lockwood Lewis, ss/as; Clifford Hayes, vn; Johnny Gatewood, p; Cal Smith, bj/g; Earl McDonald, j; Elizabeth Washington, v
    A2Everybody wants my tootelum
    Clifford's Louisville Stompers
    Chicago 6/Feb./1929
    Hense Grundy, tb; Clifford Hayes, vn; Earl Hines, p;Cal Smith, g
    A3 National Blues- take 3
    Dixieland Jug Blowers
    Chicago 6/June/1927
    Hense Grundy, tb; George Allen, Lockwood Lewis, ss/as; Clifford Hayes, vn; Dan Briscoe, p; Cal Smith, bj/g; Earl McDonald, j
    A4Clef Club Stomp
    Clifford's Louisville Stompers
    Chicago 1/June/1928
    Hense Grundy, tb; Clifford Hayes, as; Johnny Gatewood, p;Cal Smith, g
    A5 Please don't holler mama
    Ben Ferguson
    Louisville Ky. 16/June/1931
    Ben Ferguson, v; acc. George Allen, cl; Clifford Hayes, vn; Cal Smith, Freddie Smith, g; Earl McDonald, j
    A6Dance hall shuffle
    Clifford's Louisville Stompers
    Chicago 5/Feb./1929
    Hense Grundy, tb; Clifford Hayes, as; Earl Hines, p; Cal Smith, g
    A7Bearfoot stomp
    Clifford's Louisville Stompers
    Chicago 1/June/1928
    Hense Grundy, tb; Clifford Hayes, vn; Johnny Gatewood, p; Cal Smith, g
    B1 Try and treat her right
    Ben Ferguson
    Louisville Ky. 16/June/1931
    Ben Ferguson, v; acc. George Allen, cl; Clifford Hayes, vn; Cal Smith, Freddie Smith, g; Earl McDonald, j; group v chorus
    B2You're ticklin' me- take1
    Clifford's Louisville Stompers
    Chicago 6/Feb./1929
    Hense Grundy, tb; Clifford Hayes, as; Earl Hines, p; Cal Smith, g
    B3Love blues
    Dixieland Jug Blowers
    Chicago 7/June/1927
    Hense Grundy, tb; George Allen, Lockwood Lewis, ss/as; Clifford Hayes, vn; Dan Briscoe, p; Cal Smith, bj/g; Earl McDonald, j; Elizabeth Washington, v
    B4Bye bye blues
    Clifford's Louisville Stompers
    Chicago 31/May/1928
    Hense Grundy, tb; Clifford Hayes, as/vn; Johnny Gatewood, p; Cal Smith, g
    B5You're ticklin' me- take1
    Clifford's Louisville Stompers
    Chicago 6/Feb./1929
    Hense Grundy, tb; Clifford Hayes, vn; Earl Hines, p; Cal Smith, g
    B6If you can't make it easy, sweet papa
    Dixieland Jug Blowers
    Chicago 7/June/1927
    Hense Grundy, tb; Clifford Hayes, vn; Dan Briscoe, p; Cal Smith, bj/g; Earl McDonald, j; Prince LaVaughn, v
    B7Blue guitar stomp
    Clifford's Louisville Stompers
    Chicago 7/June/1928
    Hense Grundy, tb; Clifford Hayes, vn; Dan Briscoe, p; Cal Smith, g

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  3. リーダーのくせに実に存在感の少ない人 クリフォードヘイズ(Clifford Hayes)は、バンドのギャラを掠めることでも悪名が高かったらしい。マクドナルドは、ヘイズが入ったら、契約なしでは仕事をしないと言ったとか。それにしては、リーダセッションの多いヘイズ。よっぽど腕を買われてたのね。

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  4. この時期のバイオリンといえば この頃の、田舎のバイオリン弾きでは、James Coleもお薦め。ギターのTommie Bradleyといっしょにかなりの録音を残しているんで是非。

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  5. サイドマンに目を向けると このアルバムには入っていないけど、1926年12月のレコーディングにはJohnny Doddsが参加した。

    ヘイズは田舎臭さが匂うのが嫌いだったようで、ともすれば、バンドからジャグをはずしにかかるようになる。その代わりに洗練されたサイドマンを加えるという趣向だ。その顕著な例が"Louisville Stompers"名義の録音群。

    ところで、このように、いわゆるジャズ系のミュージシャンが出入りしてたから、このバンド、田舎臭いくせにショップでも"JAZZ"カテゴリーに入れられちゃったりしてなんだかなぁって感じなのよね。

    それから、ギターで参加のCal Smithのジャズフレイバーあふれる演奏は、ギタリスト必聴といえましょう。こいつはほんとに美しい。

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  6. ジャグが聞ける曲 ジャグはいずれもアールマクドナルド。このLP/CDでは計6曲で彼の名演をお楽しみいただけますです。はい。

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  7. 31年ルイビルセッションでのブルーヨーデル#11(マイグッドガールズゴーンブルーズ) 残念ながら、このLP/CDには収録されていないが、たまたま居合わせたジミーロジャースが、ルイビルジャグバンドの演奏を気に入り、急遽彼らをバックにつけて吹き込んだ作品。

    なお、同じ日のセッションからはBen Ferguson名義の吹き込み2曲がこのアルバムに収録されている。特に"Please don't holler mama"は、ブルーヨーデル#11にクリソツ。

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  8. 30年からはいい録音が少なくなってしまう 1930年代に入り、タライのベースがジャグを駆逐したため、ジャグが主流の座から転落したという説がある。まあ、どっちもどっちっていう気がしますが...

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(S.Tomiyasu)





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