Jug Band Blues
by
Boogie Woogie

jug blower jug band
ジャグバンドってご存知ですか?
ジャグ(jug)とは水差しのこと。ビンに向かってブーブー唇を震わせると、下手なチューバみたいな、貧乏臭いトロンボーンみたいな音がするんです。それをベース代わりに使ったバンドがジャグバンドっていうわけ。

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GuestBook





the history

連載読み物「ジャグバンド風雲録」click here



*ジャグとカズーはアフリカの仮面儀式で精霊の声を表していた「ヴォイス・ディスガイザー」から派生したものだ。(David Evans "Goin'up the country" / "the blues book" ローレンス・コーン編、中江昌彦訳) 1892米エジソン、円筒レコード複製に成功、量産化へ拍車

1894グラモフォン社シェラック円盤発表、音質向上

c1900ケンタッキー州ルイヴィル周辺で、ジャグバンドのスタイルが整い始める。この一派には、B.D.Tite(後にWhistler's Jug Bandで活躍するジャグ吹き。)達が含まれていた。(Brenda Bogert JPCD-1501-2のライナーノート)


1904日露戦争(-1905)

1904オデオン社 両面レコード発明

c1905Earl McDonald(後にDexieland Jug Blowersなどで活躍した天才ジャグ吹き。)がジャグを手にする。(Brenda Bogert JPCD-1501-2のライナーノート)


c1910このころまでにルイヴィル周辺では複数のジャグバンドが活動。(Bengt Olsson YAZOO-1082のライナーノート) 1914第一次大戦勃発(-1918)

1917アメリカ、第一次大戦に参戦



1924 Sep.Earl McDonald、Sara Martin & Her Jug Bandの吹き込みに参加。3日にわたり計10サイド。(Dixon/ Godrich/ Rye "Blues and Gospel Records 1890-1943")

1924 Sep.Whistler & His Jug Band、リッチモンドで初吹き込み。(Dixon/ Godrich/ Rye "Blues and Gospel Records 1890-1943")

1924 Dec.Earl McDonald、Old Southern Jug Bandの吹き込みに参加(Dixon/ Godrich/ Rye "Blues and Gospel Records 1890-1943")

1924ベル研、電気吹き込み方式開発、以後レコード吹き込みの主流方式に c1925Will Shade(Memphis Jug Bandのハモニカ吹き、ギター弾きにしてプロデューサを兼ねる。)、このころEarl McDonaldが参加したルイヴィルのジャグバンドの録音を聴き、ジャグバンドの結成を決意。(Bengt Olsson YAZOO1082のライナーノート)

1926 Dec.Dixieland Jug Blowers名義の一連の吹き込みが始まる(-1927)。(Dixon/ Godrich/ Rye "Blues and Gospel Records 1890-1943")

1927 Feb.Memphis Jug Bandヴィクターへ初吹き込み。ジャグはCharlie Polk。(Dixon/ Godrich/ Rye "Blues and Gospel Records 1890-1943")

c1927Memphis Jug Bandの成功に触発されGus Cannonがジャグバンドスタイルでの演奏を開始。

1928 Jan.Cannon's Jug Stompers、ヴィクターに初吹き込み。(-1930)(Dixon/ Godrich/ Rye "Blues and Gospel Records 1890-1943")

c1928 JuneTub Jug Washboard Band、ブルーズの女王"Ma" Raineyのレコーディングセッションに参加。(Dixon/ Godrich/ Rye "Blues and Gospel Records 1890-1943")

1928 Sep.Jab Jones(ジャグ吹きにしてピアノ弾き。戦前最高のジャグブロウワーの一人。)、Memphis Jug Bandのヴィクター吹き込みに参加。(Dixon/ Godrich/ Rye "Blues and Gospel Records 1890-1943")

1929 Oct.NY市場株価大暴落


1930 Feb.Jed Davenport & His Beale Street Jug Band、地元メンフィスにて、唯一のレコーディングセッションの機会を持つ。(Dixon/ Godrich/ Rye "Blues and Gospel Records 1890-1943")

1930 Dec.アトランタで行われたOkehレーベルのレコーディングにBirmingham Jug BandとKing David's Jug Bandが参加。(Dixon/ Godrich/ Rye "Blues and Gospel Records 1890-1943")

1931 June.Earl McDonald、カントリーシンガーの草分けJimmie Rodgersのバックで録音。(Dixon/ Godrich/ Rye "Blues and Gospel Records 1890-1943")

1933 Aug.South Memphis Jug Band、NYにて3日間にわたるレコーディングセッションの機会を持つ。(Dixon/ Godrich/ Rye "Blues and Gospel Records 1890-1943")

1934 Nov.Jab Jones、Memphis Jug Bandのラストセッションに参加。(Dixon/ Godrich/ Rye "Blues and Gospel Records 1890-1943")

1937 July日中戦争始まる。(-1945)





Review ジャグバンドならこの一枚から


YAZOO1054
clifford hayes
and
the dixieland jug blowers
yazoo1054





Instruments


原理は単純そのもので、唇をブーと震わせながらビンに息を吹き込み、音を響かせるというもの。したがって、用意するのはビンひとつ。

jugs

残された写真や映像を見ると戦前ジャグ吹きの大部分が、陶器のビンを使っている。陶器のビンは今でもたまにウイスキーのボトルに見かけることこそあるものの、大きなものは殆ど入手不可能。それだけに、まじめにジャグの世界を探求したい向きは、是非ビンテージものの陶器のビンを探してみよう。これ一つでライバルに大差をつけられるというものだ。ついでに入手先をboogie@mve.biglobe.ne.jpに知らせよう。僕たちもすぐ駆けつけるから。


JPCD-1504-2のジャケットより
Rudolph Thompsonとジャグ


さて、先人たちの楽器を研究してみたい。

ケンタッキー州ルイヴィルの老舗、Whistler's Jug Bandのジャグ吹きRudolph Thompsonの抱えているジャグも写真のとおり陶器製だ。試みに寸法を測ってみると、直径約17〜18cm。肩までの高さも大体同じくらい。ということは...約4L、ガロン缶の大きさということになる。


1930年ニュース映像に記録されたWhistler's Jug Band
幸いなことにYAZOO512でビデオ化されている。


YAZOO 512

Whistler's Jug Bandに関しては、貴重な映像資料が残されている。今となっては一人一人の名前が分からないのが残念だが、フィルムには3人のジャグ吹きが登場する。彼らが抱えるビンもどうやら陶器製。左手奥のジャグが3〜4L程度、手前のジャグが5L程度、右奥のジャグは、かなり大きくて10L以上ありそうだ。


YAZOO1054のジャケットより
Earl McDonaldとジャグ(左)


YAZOO1067のジャケットより
Dewey Corley(?)とジャグ

史上最強のジャグ吹きEarl McDonaldのジャグは丸みを帯びた陶器のビン(上左の写真)。大きさはガロン級又はそれより少々大きいといったところだろうか。

Memphis Jug Bandの周辺にいたジャグ吹きDewey Corleyの姿と思しきこの写真(上右)。ジャグは陶器かガラスか判然としないが、いずれにせよ、優に4〜5Lくらいの大きさがある。

このように、ビンテージ世代に属するジャグ吹きは基本的に陶器のジャグを使っていたようだ。もちろん、下の写真のようなガラスのジャグを使っている例もあるし、戦後にはプラスチックのビンを使っているジャグ吹きもいる。


"the story of the blues" Paul Oliverより
アラバマ州のジャグバンド

同じ形状、大きさで比較したことがないので、はっきりしないが、感想としては、高音成分の響きがプラスチック→ガラス→陶器の順に大きくなるように思う。ガラスとプラスチックに関しては、それほどビンの素材によって音が変わるものでもなく、多少、プラスチックよりは、ガラスの方がそれらしく響くかな、という程度の違いである。むしろ、ビンの容積、形、口径の方が響き方に与える影響は大きいようだ。

実際のところは、色々試してみるしかないけれど、一般的に、ビンが大きければ大きいほど低音で共鳴するようになり、口径が細ければ細いほど呼気の擦過音が大きくなるという傾向があるので、覚えておこう。


  1. 口径3.5cm、高さ30cm、容積3.5Lの薬品ビン
  2. 口径2cm、高さ27cm、容積1Lのガラスビン
  3. 口径3.5cm、高さ25cm、容積2Lの薬品ビン
  4. 口径2cm、高さ30cm、容積0.5Lの酒ビン。ちなみにこの「おばかちゃん」は非常に旨い。
    問い合わせは、"Little Village"
  1. 口径3.5cm、高さ35cm、容積5Lの薬品ビン
  2. 口径3.5cm、高さ40cm、容積10Lの薬品ビン
  3. 口径2.5cm、高さ30cm、容積3Lのガラスビン
  4. 口径4cm、、高さ40cm、容積10L以上のガラスビン
  1. 口径1.8cm、高さ16cm、容積750MLの陶器製ウィスキービン
    "Straw Hat"のマスター寄贈のピッコロ・ジャグ
  2. 口径2.5cm、高さ30cm、1升クラスの徳利
    飛騨の地酒「鬼ころし」のビン
  3. 口径2.5cm、高さ26cm、1升クラスの源蔵徳利
    古道具屋で入手したジャパニーズ・ジャグ

とりあえず、試してみるなら、酒ビン(D)やジュースのビン(B)でも十分遊べる。でも、ボイ〜ンと響く感じを得ようと思えば、少なくとも2〜3L位のビンは探したいところ。プラスチックの薬品ビン(A、C、E、F)なら、理化学材料の卸店などをあたると格安で手に入るはずだ。

ガラスのビンは最近ではプラスチックに押され、あまり大きなものが出回っていない。探せば、おそらく工業用と思しき2ガロンサイズのビン(H)なども見つかるかもしれないが...。

日本で普通に手に入れようとしたら、ワインのビン(G)クラスが最大級ということになると思う。でも、ご安心あれ、この3Lクラスのガラスビンが一番扱い易い。無理して大きなビンにこだわることもないだろう。

一方、陶器のビンにこだわるなら、入手し易いところで、コーン・ウィスキーのビン(I)がある。大きさは、まさにピッコロ・ジャグだけど、結構よく響いて楽しいぞ。最近はステージでもお気に入り。ストラップも取り付けて活用中なのだ。

せっかく日本に生まれたんだから、ご当地のジャグを試してみるという手もある。いろいろな銘柄から、陶器の徳利(J)に酒を詰めた企画ものが出ている。また、古道具屋さんを2〜3軒回れば、戦前まで酒屋が酒を小売りするときに使っていた源蔵徳利(K)が眠っているのに出くわすだろう。1升から、上は3升クラスまであるけれど、普通に見つかるのは1升まで。これら徳利も形によって大分音のニュアンスが変わる。試し甲斐があるところだ。



口径2.5cm、高さ24cm、重量3.4Kg
容積2.8Lの陶器製ジャグ

それでも、なお、洋モノの陶器製ジャグにこだわるのならしかたがない。知り合いの陶芸家に頼んで作ってもらっちゃいましょう。

上の写真は、僕たちが特注して焼いてもらったロゴマーク入りのジャグ。(底にはナント落款入り。) 実費と手間賃(計2万円程度)を負担し、2か月の納期を覚悟してくれるなら、今後も制作に応じるとは、製作者の弁。ご希望の方はboogie@mve.biglobe.ne.jpまで、メールでご相談を。


さて肝心の演奏法。

  1.  まず、ビンを口の前に構える。唇がビンの口まで3センチくらいのところから、近づけたり遠ざけたりしてよく響くポイントを探そう。ビンによって、ポイントが異なるので、がんばって探すしかないのだ。上手に響くと、余韻がきれいに残るのですぐに分かる。口径が細い方がこの距離の調整がシビアだ。

  2.  唇を引き締め、ビンの中に向かって、唇を思い切り震わせながら、息を吹き込む。このとき、”ブー”って声を出しながら息を吹くと上手くいくだろう。要は、金管楽器をマウスピースがない状態で吹いていると思えばよい。

  3.  音の高低は、”ブー”っていう声の音程を変えると自然に変わるだろう。声を高くすれば、唇が引き締まり唇の震える音も高くなる。逆に声を低くすれば、唇がゆるくなり振動音も低くなる。

以上。

これだけだ。さあ、ギター弾きを一人か二人、あとはお好みに応じて、バンジョー、洗濯板、マンドリン、バイオリン、ハモニカetc...に声を掛ければ、立派なジャグバンドの出来上がり。

アドバイスとしては、ビンをよく洗うことかな。工業用のビンは何に使ってたか分かんないからね。





the blowers ジャグ吹き十人十色

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Louisvilleゆかりの皆さん

Earl McDonald

(1884-1949)このブロウワーがいなかったら、果たしてこれほど多くのジャグバンドが録音の機会を得ただろうかというくらいの重要人物。ジャグを楽器として認知させるだけのアイディアとテクニックは、まさにトッププレイヤーと呼ぶのにふさわしい。その音色はチューバといっても通るだろうし、メロディラインも実にタフ。野太く響く低音は大人数のバンドの中で(たとえそれが機械吹き込みだろうと)決して埋もれてしまうことはない艶をもっている。ジャグを初めて手にしたという1905年から初吹き込みまでの約20年間の演奏は歴史の彼方。う〜ん聴いてみたい。
なお、カントリーファンのアンセム、Jimmie Rodgers"My Good Gal's Gone Blues"のバックをつけたのがこのお方だ。

レコーディングセッション
c1924-Sep.-16 NYC Sara Martin's Jug Band
c1924-Sep.-19 NYC Sara Martin's Jug Band
c1924-Sep.-22 NYC Sara Martin
1924-Nov.-24 St.Louis Old Southern Jug Band
c1925-May-20 Chicago Clliford's Louisville Jug Blowers
1926-Dec.-10 Chicago Dixieland Jug Blowers
1926-Dec.-11 Chicago Dixieland Jug Blowers
1927-Mar.-30 Atlanta, Ga Earl McDonald's Original Louisville Jug Band
1927-June-6 Chicago Dixieland Jug Blowers
1927-June-7 Chicago Dixieland Jug Blowers
1931-June-6 Louisville, Ky Ben Ferguson
1931-June-16 Louisville, Ky Jimmie Rodgers
1931-June-17 Louisville, Ky John Harris

LP/CD


YAZOO1054
[LP/CD]


Wolf wjs-1004
[LP]


Wolf wjs-1005
[LP]

Complete!!

vol.1 RST JPCD1501-2
vol.2 RST JPCD1502-2
vol.3 RST JPCD1503-2
vol.4 RST JPCD1504-2
[CD]

Henry Clifford

1926年12月のDixieland Jug Blowersセッションに参加している第2のジャグ吹き。なにせジャグを吹きあっている相手が、Earl McDonaldなので、少々分が悪いのはやむを得まい。しかし、よく聴いてみると、意外に派手なメロディをピリッと聴かせていてなかなかの吹き手であることがうかがわれるし、"Louisville Stomp"でのジャグの掛け合いなど、Earl McDonaldとの息の合い方が尋常ではない。
なお、1927年6月、ヴィクターセッションのジャグ吹きはEarl McDonaldではなく彼であるとする説があるが、音色から判断する限り、やはりEarl McDonaldが吹いていたものと考えたい。

レコーディングセッション
1926-Dec.-10 Chicago Dixieland Jug Blowers
1926-Dec.-11 Chicago Dixieland Jug Blowers

LP/CD

Complete!!

RST JPCD1501-2
RST JPCD1502-2
[CD]

B.D.Tite

1900年前後、世紀が代わるころ、ルイヴィルで整い始めたジャグバンドスタイル。その黎明期に活動をしていたジャグ吹きの草分けの一人と目されている。残された録音は少なく、しかもその半数がお蔵入りに終わっているのが非常に残念。というのも聴くことのできる吹き込みがジャグのパワフルさ、音の豊かさを十分に発揮した素晴らしいものだからだ。

レコーディングセッション
1924-Sep.-25 Richmond Ind. Whistler's Jug Band

LP/CD


RST JPCD1501-2
[CD]

Rudolph Thompson

ルイヴィルの老舗、Whistler's Jug Bandの録音に参加したジャグ吹き。1927年の吹き込み当時、弱冠14歳だったというから、ルイヴィルのジャグ吹きとしては第2世代以降ということになる。さすがはレコーディングセッションに抜擢されただけのことはあり、艶やかな音色を聴かせてくれる。

レコーディングセッション
1927-Apr.-29 St.Louis Whistler & His Jug Band
1927-Apr.-30 St.Louis Whistler & His Jug Band
1931-June-15 Louisville, Ky Whistler's Jug Band

LP/CD


ROOTS RL-311
[LP]


Complete!!

RST JPCD1502-2
RST JPCD1504-2
[CD]

Carl Reid

1928年から30年まで、ノベルティ色の強いスキッフルバンドから、"Ma" Raineyのバックまで、幅広い録音に足跡を残したジャグ吹き。想像するに、ジャグやカズーの上手いスタジオミュージシャンとして、重宝されていたのではないか。まさにジャグといった押し出しの強い低音と、軽妙なセンスを合わせ持ったジャグ吹きだ。本来はイリノイ州ペオリアの一派に属していたらしい。にもかかわらず、"ルイヴィル"ジャグバンドを名乗っているあたり、ジャグバンド業界における"ルイヴィル"ブランドの重みを物語っているではないか。

レコーディングセッション
1928-June-11 Chicago Tub Jug Washboard Band
1928-June-12 Chicago "Ma" Rainey
1928-June-13 Chicago Tub Jug Washboard Band
1928-Oct.-31 Chicago Tampa Red's Hokum Jug Band
1928-Nov.-9 Chicago Tampa Red's Hokum Jug Band
1928-Dec.-4 Chicago Pine Top Smith
1929-Apr.-12 Chicago Tampa Red's Hokum Jug Band
1929-Apr.-13 Chicago Tampa Red's Hokum Jug Band
c.1930-Aug. Chicago Phillips' Louisville Jug Band
c.1930-Aug. Chicago Kentucky Jug Band
c.1930-mid.Aug. Chicago Tampa Red And His Hokum Jug Band
c.1930-Sep.-9 Chicago Tampa Red And His Hokum Jug Band
c.1930-early Sep. Chicago Phillips' Louisville Jug Band

LP/CD


STORY BLUES
CD 2314-2
[CD]


Collectors Items 013
(Tampa Red's Hokum Jug Band)
[LP]


Biograph BLP12011
("Ma" Rainey)
[LP]

Salty Holmes

もちろんジャグバンドスタイルは黒人だけのものではなく、白人のジャグ吹きも活躍した。吹き込みとして残っているものの中では、Salty Holmesがジャグを担当したThe Prairie Ramblersの"Jug Rag"(1935-Feb.14)がそのサンプルとして非常に有名。

LP/CD


COLUMBIA C2K47466
[CD]

Memphisゆかりの皆さん

Lionhouse

ルイヴィルからオハイオ川→ミシシッピ川を下ってその間約500Kmのメンフィス。この街が後にジャグバンドを輩出することになる。その中心となったMemphis Jug Bandを主宰することになるWill Shadeが、1925年ころに出会ったのがライオンハウスと名乗る50歳代のジャグ吹きだった。録音は(当然)残されていないが、年齢からするとジャグ吹きの第1世代に属する人物かも?

Charlie Polk

1927年に行われたMemphis Jug Bandの初レコーディングに参加したことで名を残したジャグ吹き。むしろ、バンドでは、コメディアンあるいは、ダンサーを担当していたようで、ジャグはおかず程度にこなす吹き手といった評価が一般的。そういわれてみると、音程が怪しかったり、時にリズムが乱れる癖があるところなど、一流どころのジャグ吹きと比べれば確かに見劣りがするのは事実だが...

レコーディングセッション
1927-Feb.-24 Memphis Tenn. Memphis Jug Band
1927-June-9 Chicago Memphis Jug Band
1927-Oct.-20 Atlanta Ga. Memphis Jug Band
1928-Feb.-1 Memphis Tenn. Memphis Jug Band
1928-Feb.-13 Memphis Tenn. Memphis Jug Band

LP/CD


YAZOO 1067
[LP/CD]


Complete!!

Document DOCD-5021
Document DOCD-5022
WOLF WBCD-004
[CD]

Hambone Lewis

1930年の5月から6月にかけて行われたヴィクターの現地録音に参加したジャグ吹き。この時のセッションではMemphis Jug Bandの吹き込みを中心に、ノア・ルイスのバックを付るなどなかなかの活躍ぶり。ところが、その前後のレコーディングでは全く名前がでてこないのが謎といえば謎なのだ。この現地録音当時、Jab JonesとWill Shadeの仲が悪かったのだろうか??
なお、吹き手としては、まあまあの腕前といったところ。

レコーディングセッション
1930-May-12 Memphis Tenn. Memphis Jug Band
1930-May-17 Memphis Tenn. Memphis Jug Band
1930-May-21 Memphis Tenn. Memphis Jug Band
1930-May-26 Memphis Tenn. Memphis Jug Band
1930-May-26 Memphis Tenn. Noah Lewis's Jug Band
1930-May-28 Memphis Tenn. Noah Lewis's Jug Band
1930-May-29 Memphis Tenn. Memphis Jug Band
1930-May-30 Memphis Tenn. Keiser Clifton
1930-June-5 Memphis Tenn. Memphis Jug Band

LP/CD


Document DOCD-5023
[CD]


MATCHBOX MSE213
[LP]


WOLF WBCD-004
[CD]

Jab Jones

さあ真打登場。メンフィス一派の中で、ルイヴィルのジャグ吹きに対抗できるのはこの人くらいだろう。特にその音色は時にEarl McDonaldとみまごうばかり。その上、ピアノ弾きとしても実に達者なプレイヤーだけにジャグのフレーズも洗練されていて、さらにピッチ(音程)が正確とくる。まさに無敵のジャグ吹きだ。

レコーディングセッション
*=on piano , ( )=prob.
1928-Sep.-11 Memphis Tenn. Memphis Jug Band
1928-Sep.-15 Memphis Tenn. Memphis Jug Band
*1928-Sep.-24 Memphis Tenn. Will Shade
1929-Sep.-17 Memphis Tenn. Memphis Jug Band
*1929-Sep.-17 Memphis Tenn. John Estes
1929-Sep.-23 Memphis Tenn. Minnie Wallace
*1929-Sep.-26 Memphis Tenn. John Estes
*1929-Sep.-26 Memphis Tenn. John Estes-James Rachel
1929-Sep.-27 Memphis Tenn. Memphis Jug Band
1929-Oct.-3 Memphis Tenn. Memphis Jug Band
1929-Oct.-4 Memphis Tenn. Memphis Jug Band
(1930-Feb.-19 Memphis Tenn. Jab Jones and His Jug Band)
*1930-May-13 Memphis Tenn. John Estes
*1930-May-17 Memphis Tenn. John Estes
*1930-May-21 Memphis Tenn. John Estes
*1930-May-30 Memphis Tenn. John Estes
1930-Nov.-21 Memphis Tenn. Memphis Jug Band
(1930-Nov.-26 Memphis Tenn. Memphis Jug Band)
(1930-Nov.-28 Memphis Tenn. Memphis Jug Band)
1932-Aug.-3 Richmond Ind. Picaninny Jug Band
(Dallas Jug Band)
1932-Aug.-3 Richmond Ind. Poor Jab
1932-Aug.-3 Richmond Ind. Charlie Burse
1932-Aug.-3 Richmond Ind. Will Shade
1934-Nov.-6 Chicago Memphis Jug Band
1934-Nov.-7 Chicago Memphis Jug Band
1934-Nov.-8 Chicago Memphis Jug Band

LP/CD


RBF
RF6
[LP]


Document
DOCD-5022
[CD]


RST
BDCD-6002
[CD]

Gus Cannon

さて、大物の登場だ。既にバンジョー弾きとして身を立てていたCannonが、Memphis Jug Bandの成功に刺激され、自らパラフィン鑵のジャグを吹き始めたのが1927年の頃。その翌年にはジャグを使ってヴィクターへの吹き込みを始めている。
言うまでもなく、バンジョーの余芸に吹くという程度の演奏なのだが、そのタイミング、アクセントには他のジャグ吹きにないセンスを感じる。誰にも真似のできない芸といえよう。

レコーディングセッション
*=on banjo , ( )=prob.
*c.1927-Nov. Chicago Banjo Joe
*c.1927-Nov. Chicago Blind Blake
1928-Jan.-30 Memphis Tenn. Cannon's Jug Stompers
1928-Sep.-5 Memphis Tenn. Cannon's Jug Stompers
1928-Sep.-9 Memphis Tenn. Cannon's Jug Stompers
1928-Sep.-20 Memphis Tenn. Cannon's Jug Stompers
*1929-Sep.-12 Memphis Tenn. Cannon's Jug Stompers
1929-Oct.-1 Memphis Tenn. Cannon's Jug Stompers
1929-Oct.-3 Memphis Tenn. Cannon's Jug Stompers
*1930-Nov.-24 Memphis Tenn. Cannon's Jug Stompers
*1930-Nov.-28 Memphis Tenn. Cannon's Jug Stompers

LP/CD


YAZOO 1082/3
[LP/CD]


Origin Jazz Library
OJL-4
[LP]


Origin Jazz Library
OJL-19
[LP]

"Doctor" D. M. Higgs

1930年頃、メンフィスには、少なくとも7つのジャグバンドがしのぎを削っていたという。その中で、唯一Memphis Jug Bandのライバル足り得たバンドと評されるのがジャグに"Doctor" D. M. Higgsを擁したJack Kelley's Jug Busters(後のSouth Memphis Jug Band)だ。(Bengt Olsson YAZOO1067のライナーノート)
結局、レコーディングの機会は1933年まで巡ってこなかったが、この時のセッションでは、派手さはないもののブルーズのバックで吹くジャグの手本ともいうべき演奏を聴かせている。

レコーディングセッション
1933-Aug.-1 New York City Jack Kelley's Jug Band
1933-Aug.-2 New York City South Memphis Jug Band
1933-Aug.-2 New York City Jack Kelley
1933-Aug.-3 New York City Jack Kelley
1933-Aug.-3 New York City South Memphis Jug Band

LP/CD


RST BDCD-6005
[CD]

Hammie Nixon

1907年〜1909年頃、テネシー州ブラウンズビル周辺で生まれる。ご存知のとおり、ハモニカ吹きとしては、現代ブルーズハーモニカの元祖ともいうべきスタイリストである。

ジャグ吹きとしてもかなりのテクニシャンで、ジャグによる唄とのコール&レスポンスなどを聴くと、ああ、この人はジャグをメロディ楽器として消化しているんだなと、しばし聞き惚れてしまうほど。

レコーディングセッション
1934-Sep.-8 Chicago Brother Son Bonds

LP/CD


Wolf WBCD-003
[CD]

Unknown Jug Blower With Jed Davenport

1930年2月の"Jed Davenport And His Beale Street Jug Band"の吹き込みに参加したジャグ吹きが誰であったのか?この疑問は現在のところ解明されていない。ただ、残された録音から、この時のセッションは、吹き込みのため臨時に選抜されたメンバーによるものであったらしいこと、ジャグ吹きの演奏レベルは意外に高いことが感じられるのみである。
ところで、この吹き込みの前日、同じヴォキャリオンの現地録音に、名手Jab Jonesが自己名義の吹き込みを行なっている。う〜む。どこか臭うと感じるのは私だけか?

レコーディングセッション
1930-Feb.-20 Memphis Tenn. Jed Davenport And
His Beale Street Jug Band

LP/CD

complete!!

RST BDCD-6028
[CD]

Alabamaゆかりの皆さん

Honeycup

1930年に行われたBirmingham Jug Band唯一のレコーディングで、ジャグを吹いたのは誰か?ビッグ・ジョー・ウイリアムスによれば、Honeycupと名乗る人物だったそうだけど、真相は闇の中。このレコーディングが素晴らしいのは、何といっても、ジャグバンド本来のノリと音のバランスが自然に捉えられているからだ。もちろん、ジャグやマンドリンをマイクの近くにもってきたりと、いろいろ補正はしてるはずなのにそれを感じさせないのも、一つには、プレイヤーの息がピッタリだからだろう。このレコーディングユニット自体が、普段から一緒に活動していたんじゃないかな。

ハーモニカについて語られることの多いBirmingham Jug Bandだけど、バンドのボトムを正確なリズムとピッチで支えているジャグ吹きの腕もなかなかのものだ。

レコーディングセッション
1930-Dec.-11 Atlanta, Ga. Birmingham Jug Band

LP/CD

Complete!!

DOCD 5140
[CD]




RBF
RF6
[LP]

Sarah Watson

旦那はアラバマはモービルの出身と考えられているDaddy Stovepipe。この旦那と組んで、1930年代にレコーディングを残した"Mississippi Sarah"ことSarah Watson。その芸名どおり、ミシシッピ出身なのかどうかは不明。唄とジャグをこなすが、特筆すべきはジャグの音色だ。とにかく低音がよく響くこと響くこと。"RCAブルースの古典"で初めて、Daddy Stovepipe And Mississipi Sarahの"The Spasm"を聴いたとき、「これ、ホントに女性なの?」とびっくりしたのを覚えている。

レコーディングセッション
1931-Oct.-21 Chicago Mississipi Sarah And Daddy Stovepipe
1931-Oct.-22 Chicago Mississipi Sarah And Daddy Stovepipe
1931-Oct.-22 Chicago Mississipi Sarah
1935-Feb.-26 Chicago Daddy Stovepipe And Mississipi Sarah

LP/CD

Complete!!

DOCD 5166
[CD]

N.Y.C.ゆかりの皆さん

Clarence Williams

1920年代から30年代にかけて、タレントスカウト、コンポーザ、ピアノ弾き、歌い手、ミュージックストアのオーナーetc...としてジャズ界に偉大な足跡を残したClarence Williams。その彼が、(なぜか)ジャグ吹きとしてフィーチャーされているレコーディングセッションがある。そのときの"the Lion" Smith(p)、Ikey Robinson(bj/v)を中心とするセッションの名義が"Alabama Jug Band"だ。Clarence Williams本人は、1893年(1898年説あり)ルイジアナ生まれ、その後シカゴを経てニューヨークにやってきた人物なので、あまりアラバマは関係ありそうにない。バンド名の由来はいずこ?

ちなみに、ジャグの腕前の方も、余芸にしておくには惜しい代物で、そうそうたるメンバーに十分渡り合っているのが好ましい。そりゃ、一流どころと比較してしまえば、音域が狭いとか、音色に艶が足りないといった不満もあろうが、そこは、当人もよく分かっていて、ちゃんとストリングベースやブラスベースを起用し、きっちりバックアップしているあたり、心憎いではないか。

レコーディングセッション(ジャグで参加のもののみ)
1934-Sep.-5 N.Y.C. Alabama Jug Band
1934-Oct.-3 N.Y.C. Alabama Jug Band

LP/CD


Classics891
[CD]

Unknown Jug Blower Of Five Harmaniacs

1926年から27年にかけての比較的早い時期に、録音を残したセッショングループにFive Harmaniacsがある。実態が今一つつかめないのがもどかしいが、とても楽しげなノベルティを軽快に演奏できる技量とセンスが持ち味だ。また、楽曲が非常に優れており、最近、日本でもカバーするバンドがとても多いのも特筆すべき点だろう。

肝心のジャグは、1926年9月から翌年2月にかけての5ヶ月間に吹き込まれた5曲7テイクで聴くことができる。いずれもバンドのベースパートを受け持つという使われ方よりは、ハモニカ吹きないしはカズー吹きが、余芸として一風変わったソロ楽器で1コーラスだけ遊ぶいった活用法だ。なお、音色、フレーズ回しから各セッションを通じて同一人物がジャグを担当していたとも思われず、何人かが入れ替わりブーブーいっていたような印象を受ける。真相はいかに。

レコーディングセッション
1926-Sep.-17 N.Y.C. Five Harmaniacs
1926-Nov.-27 N.Y.C. Five Harmaniacs
c.1926-Dec.-20 N.Y.C. Five Harmaniacs
1927-Feb.-8 N.Y.C. Five Harmaniacs

LP/CD


JPCD1505-2
[CD]

Ohioゆかりの皆さん

Unknown Jug Blower Of Cincinnati Jug Band

ジャグバンドの聖地、ルイヴィルからオハイオ川をさかのぼること約100マイル。シンシナティもジャグバンド史上、重要な地位を占める場所だ。

19世紀後半、若き記者だった小泉八雲(Lafcadio Hearn)がシンシナティの酒場でのダンスバンドのヴァイタルなありさまをレポートしているように、河湊のこの街には、下世話なダンスバンドが似合ったようである。

このような街のバンドマンが、1929年1月、盤面に記録をとどめることになる。それが、Cincinnati Jug Band、唯一のレコーディングセッションとなった。

さて、この時のレコーディングはわずかに4曲。2曲はCincinnati Jug Band名義のもので、いずれも達者なハモニカを押し出したダンスチューンだ。ジャグもマイクの前で、ハモニカとほぼ同等の位置(音量)を与えられ、ベースとして、また、ちょっとしたアクセントとしてがんばっている。ジャグは、音程がはっきりしない音色で、むしろ吹き出しのアタックを生かしたリズム楽器に徹しているようだ。(これ、やってみると意外に難しい。)

一方、ギタリスト/シンガーのBob Coleman名義の2曲は少々ジャグの趣が異なってくるのが面白い。ジャグバンドの定番"Tear It Down"でも、流麗なフィンガーピッキングの後ろで、ジャグが、ベースというよりは、半ばメロディ楽器のような使われ方をしているのである。グリッサンドを多用した響きは、なかなかに深く、美しいものだ。

レコーディングセッション
c1929-Jan. Chicago Cincinnati Jug Band
c1929-Jan. Chicago Bob Coleman

LP/CD

complete!

STORY of BLUES
CD3519-2
[CD]

Roosevelt Pursley

シンシナティの誇るシンガー/ギタリストのWalter Coleman(=Bob Coleman, Kid Cole, Walter Coleであると考えられている。)のバックマンとして、計7曲(発表されたのはそのうち3曲のみ)に付き合っているジャグ吹き。

なにぶん、どのセッションもジャグは主役ではないため、マイクからの位置も遠く、はっきりと音の特徴が捉えられていないというのが正直なところ。フィドルが入っている録音ならば、フィドルを後ろに下げ、ジャグをマイクの直前に持ってきて、ようやく音量のバランスがとれるのに、このセッションでは、フィドルとジャグとが同じくらいの立ち位置にいるようだ。この点、これでもかとジャグを前に出して聞かせる同時代のルイヴィル産の録音とは、コンセプト自体が異なっているのだろう。

とはいっても、現在、リイシューされている音源の状態がそれほどよくないのとあいまって、"Where you been so long?"(1930)と"I love my Mary"(1931)では、ジャグの音を識別することがほとんど不可能な状態なのはあまりに残念。前者に、わずかに、チェロの弓弾きと思しきサステインの効いた低音が判別されるのみなのだ。

なお、ジャグの実力のほどは確かで、残る"Four Day Blues"(1931)では、ようやく前に出てきたジャグがミディアムのブルースで4分音符を刻みつづけるという快挙にでる。この技があるなら、もっと前でブイブイいわせてくれればよかったのに、と残念さがいや増すのであった。

レコーディングセッション
1930-Sep.-27 Richmond, Ind Tommie Bradley
1930-Sep.-27 Richmond, Ind Cole's Blue Five(2 titles unissued)
1930-Oct.-27 Richmond, Ind James Cole's Washboard Band(2titles unissued)
1931-July-17 Richmond, Ind James Cole
1931-July-17 Richmond, Ind Tommie Bradley

LP/CD


MSE211
[LP]

Samuel Jones

Samuel Jones(A.K.A "Stovepipe No.1")はハモニカ吹きとしては最初期に属する1924年に吹き込みをしたことで知られている。ハモニカ吹きとしてもたいしたものだが、その特異な芸名の由来であるストーブパイプの腕前にいたっては、まさにワン・アンド・オンリーの地歩を占めている。

なにしろ、その演奏法がわからない。残された音源を聞くと、高い音域では明らかにカズーを筒の中で共鳴させているような音がする反面、低音ではジャグの唇の振動音としか思えない響きが唸る。もしかするとただ単に持ち替えているだけなのかもしれないが、今となっては闇の中なのが歯がゆいところだ。(ちなみに個人的にはジャグっぽい低音の艶やかさが大好き。何とか再現したいと思っているのだが...。)

なお、"King David's Jug Band"名義の録音を果たした1930年12月11日、アトランタでのOKehセッションでは、Birmingham Jug Bandとニアミスしている。なんとスリリングな一瞬だったことだろう。想像するだけで鳥肌ものだ。

レコーディングセッション(*=ストーブパイプで参加のもの)
*1924-May-16 Richmond, Ind Stovepipe No.1
1924-Aug.-18 N.Y.C. Samuel Jones
1924-Aug.-19 N.Y.C. Stovepipe No.1
*1924-Aug.-20 N.Y.C. Stovepipe No.1
*1927-Apr.-25 St.Louis, Mo. Stovepipe No.1 and David Crockett
*1927-Apr.-26 St.Louis, Mo. Stovepipe No.1 and David Crockett
1928-May-28 Chicago Kid Cole
*1930-Dec.-11 Atlanta Ga. King David's Jug Band

LP/CD


DOCD5269
[CD]



STORY of BLUES
CD3519-2
[CD]

Texasゆかりの皆さん

Charles "Chicken" Jackson

1935年という比較的遅い時機に、レコーディングのチャンスをつかんだユニットである。2日にわたり、計6曲を吹き込み、うち4曲が出版された。時代を反映して、演奏の内容は、かっちりとしたブルーズ。腕も確かだし、とても安心して聞けるセッションだ。

と、ここまでは良いのだが、実は問題が。ジャグが聞こえないのである。これは、以前から指摘されていることで、このセッションでは、Charles "Chicken" Jacksonなる人物がジャグを吹いたとされているにもかかわらず、盤面からその痕跡をうかがうことはできない。どこがジャグバンドなんだ?

しかも、その代わりに、"It may be my last night"と"Flying crow blues"の2曲でピアノの低音弦を金槌でひっぱたいているような、風変わりなベースまで聞こえてくる。これも、チューバ説あり、ストリングベース説ありで定説をみていない。こりゃなんだ?

やっている音楽が正統的なだけに、なんだか気になる変わったバンドである。

レコーディングセッション
1935-Sep.-20 Dallas, Tex. Dallas Jamboree Jug Band
1935-Sep.-25 Dallas, Tex. Dallas Jamboree Jug Band

LP/CD


Document DOCD5162
[CD]

Chicagoゆかりの皆さん

Unknown Jug Blower Of Bill Johnson's Louisiana Jug Band

Bill Johnsonは、20年代末か30年代頭のシカゴ・サウスサイドジャズの一派として、Jimmy Blytheをはじめとする面々とならしたベーシストである。

Bill Johnson's Louisiana Jug Bandは、そんな彼がいつものTampa Red(g)、Frankie "Half Pint" Jaxon(v) 、Georgia Tom Dorsey(p)といったメンツで2曲を録音したセッションだ。

ジャグは吹き人知らずだが、なかなかの芸人根性をみせ、カズーとの二刀流で器用なリズムの処理を見せている。この器用さと人脈から推して、Carl Reidを疑うのが自然なところ。

ところがところが、1979年当時、この2曲を聞かされたCarl Reidは「なかなか良いジャグマンである。が、誰かは知らないし、もちろん私ではないぞ。」といった趣旨のコメントを残したという。(Howard Rye氏によるCI014のライナー)

果たして真相は?

レコーディングセッション
1929-Mar.-20 Chicago Bill Johnson's Louisiana Jug Band

LP/CD


Document DOCD5258
[CD]



Collectors Items
014
[LP]





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The Corner Jug Store

ジャグバンドのふるさと。楽器関係情報はこのサイトを参考にさせていただいたところ大であります。
BAN BAN BAZAR(new)
日本の古ジャズ、スキッフルバンドといえばバンバン・バザール。和みのステージは必見だ。なお、「このバンドが毎月名古屋で見られるなら僕はバンドマンをやめてただの客になる。」と我々のハモニカ吹きは申しております。

春待ちファミリーバンド

日本のジャグバンドの老舗といえば、春待ちファミリー。神戸の主として、ますます活躍されています。

Sunshine Skiffle Band

ワシントンDCのスキッフルバンド。リンクなど充実。よく見に行きます。

Jug Band Rag... World Home of Jug Band Music

ジャグバンド関連の定番サイト。楽器情報、バンド情報などなど。

... and the Leasebreakers

シュールなジャグのムービーあり。フロントアクターによってどんどん名前が変わる不思議なユニット。

THE FEDERAL CIGAR JUG BAND

1966年オレゴン州ポートランドで結成のジャグバンド。1967年と1997年、30年の歳月はメンバーにどのように作用したか? しかし、いい歳の取り方していらっしゃること。

The Loose Licks Jug Band

10人の大所帯。オーセンティックなジャグのスタンダードからロックンロールまで間口の広いバンドですな。





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