あの人に逢いたい。寂しい時、楽しい時、悲しい時、そんな時ふと思う。
逢った時、楽しい時はその時間を共有したいし、悲しい時は励まして欲しい。寂しい時はただそばにいてくれるだけでいい。それだけで心が休まる。
あたしは小さな頃から家族に恵まれているとは言えず、必要な時に必要な人、つまり親がその状況には
いなかった。そのせいか、悩みも悲しみも喜びも誰かと共有するという事が少なく、自分独りで超えていった。「親といえども他人」という考えはその頃構築されていったのだと思う。だから、本当の自分の姿で初対面の人にはすぐには打ち解けられず、いつも作った自分で接していた。本当の自分を理解してくれる人はいない、そう思い込んでいたから、自然に壁を作ってしまう。それが相手にも伝わってしまうのか、学生時代友達は少ない方で、それでもいいと思っていた。
親友と呼べる人が2人いる。一緒に泣いて、一緒に笑って、一緒に同じ時間を過ごした。距離的に離れた時も、連絡を中々取れずにいても、必要とすればお互いに逢ったりしていた。あったからといって何する訳ではない。ドライブしてカラオケ歌って取り止めの無い話して時間が来る。重要な話なんかしなくていい。一緒にいるだけで自分が存在する理由が分かったような気がする。
逢いたくて、泣いてすがっても逢えなくて、寝ても覚めてもその事しか考えられず、そんな苦しい思いをした事もある。そして、いつしかその事を忘れ、誰か別の人と出逢ってその人と新しい時間を共有して、そうして想い出のかなたに埋もれていく。何日、何年と時間をかけて。
何も話さなくてもいい。ただ一緒にいてくれるだけでいい。だから、あなたに逢いたい。
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