愛の店物語その3

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 最近目っきりと春らしい陽気が続いている。
 愛の店でも春の陽気を肌で感じている。例をあげると、空の青さ、アスファルトの道路、気温、雪解けの水が流れる音、春物の新作目白押しの通販のカタログの山・・・ときりがない。
 流石の陽気に突然笑い出す者、静電気地獄に悩まされる者、いつも以上に輪をかけてY談に花を咲かせる者、色々な人材が集まっている。そんな中で仕事がはかどる訳が無い。今日も桜餅を食べながら、長い北国の冬の終わりを今か今かと待っている。
 愛の店では、春先、車粉等の埃用に空気清浄器の注文が飛ぶように入る。会社にも数台取り付けてあるのだけど、事務所はいつも煙草の煙が立ち込めていて、もう数台追加して取り付けなければ間に合わない状態になっている。

それはさて置き。

 旭川では、最低気温がマイナス10度前後最高気温がプラス3度という、相変わらずの温度差を1日で体験できる。あたしの勤める愛の店の立地条件は南・西側が殆ど窓で占められていて、午後はお日様の光が狙った様に入ってくる。お日様のおかげで日中ぽかぽかとした事務所は、
予定通り眠気を誘う。
春眠暁を覚えず、仕事は未だ片付かずの図  眠気覚ましにコーヒーをブラックで飲む。アイスキューブを口に含む。トイレでストレッチをする。そんな行為は無駄に等しく、データ入力中ですらつい居眠りを始めてしまう。何せ眠い。最近睡眠不足になる様な生活は極力控えているにもかかわらず、眠い。通常2粒程で効果のあるミントを4〜5粒口に含んで一気に噛み砕いても(普通そんな事する奴はいない)、眠いものは眠い。あたしの睡魔のピークは午後2時。ひたすら耐えている時間である。そして、ピークの過ぎる3時が来るのを首を長くして待っているのである。

それはさて置き。

 今日の話題は宝くじだった。
 愛の店では宝くじも大流行りで、特にスクラッチカードのスピードくじは、スリルとサスペンスを味わうのにはもってこいだ。外回りの人にお金を渡して買ってきてもらう。それを一人だけでなく全員で楽しむのだ。
 当たる筈はないので、皆でドキドキする。間違って当たったらどうするんだろうと思うけど、今まで高額当選した事が無いので悩む必要も無い。

 そうやってある日の愛の店は暮れていくのである。




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