結婚しない症候群

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 バツ1のあたしが言うのもなんだけど、新聞によると、最近は結婚しない人が増えているそうだ。そう言えば、あたしの親友も会社の先輩も独身だ。

 一昔前なら、男は結婚したいけれど女はしたくないっていうのが通説だった。経済力を身につけ、楽しい遊びを覚え、子供さえ欲しくならなければ、取りあえずは独身でも何とかやっていける。
 本来結婚というのは、お金は稼げるけど家事が出来ない男と、お金は稼げないけど家事と育児ができる女、つまりお互いに足りないものを補える相手同士助け合うために行う事だった。
 別の見方をすると、家を継がせ、名前を残すために、どちらかといえば非生産的な方(つまり女)を家へ迎えるために、結納金という名の契約金を払って、見事に自分(又は嫁ぎ先)専属の家政婦を作るための行為でもあった訳だ。
 女の立場で言わせてもらうと、「誰がそんな結婚してやるもんか!!」となる。娘を産んだ親だって、家政婦にするために育ててきた訳じゃないだろうし、本人だって、自分の自由を失ってまで結婚したいとは思わない。「ホント、冗談じゃないよ、それなら死ぬまで独身でいるんだも〜ん」。腹の中でそう思っている人の方が多いと思うよ。
 けれど悲しいかな男の方が石頭で、「メシ・フロ・ネル」の3単語だけで済ませられる様な女を嫁にしたいという、化石の様な考えをまだ捨て切れない人が多い様だ。または、自分の母親と同じ事をしてくれる女を求めている。「味噌汁の味があわないから、お母さんに習っておくように」なんて言葉が簡単に出てくる男は、荷札をつけてクール宅急便で実家に帰してしまいたくなるよね。母親と同じ物を女に強制させるために結婚するなら、それこそ相手の生きてきた全てを否定する事になるのだから、そんな失礼な事をする位なら結婚しないでいて欲しい。そういう事に気付きもしないで、「結婚できないよ〜」などとほざいたって、所詮話のレヴェルが違う から、話にもならない。結婚できない事を自分以外の誰かの所為にして自分は変わろうとはしないなんて、結婚できなくて当然である。
 けれども面白い事に、家庭的である事を売り物にしている独身女性がいる事も事実だったりする。そういう人と化石頭の男が結婚すればうまく行くのだろうけど、大体そういう女は「白馬の王子様」なんかがお迎えに来てくれなきゃだめだろうし、躾の厳しい親の下で育った「良妻賢母」を絵に描いたような女なら、実家だって「**家」なんて近所で呼ばれる様な家柄だったりして、案外疲れた結婚生活を送りそうな想像をしてしまったりするのである。大体、そんな箱入り娘を「白馬の王子様」がどうやってみつけるんだい?自分が外に出るか、安売りの広告でも載せない限り、見つけてくれるとは思いがたいけどね。

 ん〜。どうやらあたしはしばらく独身生活が続きそうだよ。




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