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 エッジの機種交換をした。
 丁度満1年。前回の機種交換と同じ日。1年前と同じ位の時間に。ずっと「欲しいな」って思っていたシェルタイプのに思い切って乗り換えた。
 折角のパールホワイトがかなり剥げてきて、表示部分も傷がつき、使えない事はないけど、ちょっと可哀相な姿になっていた。いつもなら利用料金に応じて貯まるポイントを使ってげっとしたり、型落ちして殆ど無料のようになった機種とかで機種交換をしていたのだけど、今回は思い切って大枚はたいて最新機種にした。あたしにしてはとても珍しい事だったりする。
 けど、そこまでしてでも機種交換したかった。理由は簡単。あたしの中のバグ取りだ。

 1年前も同じような青空の日が続いていた。ある事件をきっかけに、その青空が歪んでしまった。泣いても叫んでも届かない声。戻らない笑顔。存在は間違いなくしているけれど、あたしの愛した人はこの日を境に死んでしまった。残された抜け殻に必死にすがった。でも、歪んだ青空は元には戻らなかった。
 死んだ人はもう帰ってこない。それを理解するまでに1年かかったという事だ。目の前の幻覚に振り回され、一喜一憂し、自分を壊してでさえ生き返らせようとした。時には悲嘆にくれ、時には苦悩し、時には呆れ果て、自分を責め、相手を責め、ただ悪戯に時間だけが過ぎていった。そうして1年。やっと自分の中で踏ん切りを付ける事ができた。
 死者は、残された者が嘆き悲しんでいると気になってしまい、その時間分天国に行くのが遅くなると聞いた。それは、残された者のエゴだろう。誰にでも、その人が行かなければならない道がある。それを邪魔する事は、誰も出来ない。「あたしは今、結構幸せなんだよ。だから、安心してあなたの道を歩んでね」と呟けば、本当に判ってくれる人ならば、黙って自分の道を歩んでいくだろう。それが、お互いのためになる。

 話を戻そう。
 振り返れば、ロクな思い出しかない、そんな時期に使われた可哀相なエッジに役目を終了させてあげた。決して飽きたわけではない。メールなどの保存容量は最新機種にも負けずとも劣らないし。こんな短期間に、しかもお金をかけて機種変更なんて、今までに一度もないんだから。
 でも、やっぱり、しちゃいました。魅惑のPCM175音色に32和音。広い表示画面。今までの様にお尻のポケットには入れられないけど、胸ポケットにはすっぽり入りきるコンパクトさ。あ〜、ストラップも買って来よう。電卓機能やカレンダーやゲームなんかもついてきて、割りと御満悦。
 しかし、気に食わないのが1点。
 折角の32和音なのに、なんで自作メロディーは単音のみなんだよおぉぉ〜〜〜(涙)
 有料コンテンツからの差し金ですか?
 えぇ、のってやりますとも。せっせとDLしてきますとも(涙)




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