愛の店物語その2

前に戻る 次に進む エッセイ集目次に戻る 文芸班に戻る


 愛の店に入社して一番最初に躓いた事は、「4週間目にこんにちわ〜」しかないと思っていたレンタルサイクルの概念が、実際は5種類もあるという事だった。「4週間目にこんにちわ〜」を主流とする個人家庭向きのオーダー打ち込みだけの仕事ならまだ良かったのだけど、仕事は他にも1週間・2週間・8週間・不定期なんて言われると大パニック。家庭用納品商品の中には8週間サイクルで納品されるものもあり、それのために出力する納品レポートの期日設定はいまだに間違えそうになる。奇数週・偶数週と分けてはいるものの、「来週は奇数週だっけ?」などとメモしてあるカレンダーを睨みつつ出力する。これはきっとこの会社を辞めるまでカレンダーと睨めっこする事になるだろうとあたしは睨んでいる。

 さて、愛の店には仕事柄女性が多数を占めている。そこで必然的に通信販売なんかが流行っている。
 事務所には常時5社程の通信販売カタログが置いてあり、暇さえあればそれを眺めてため息を吐く。1年間に通信販売だけで10万円以上の買い物をした人もいて、給料日前後には通信販売会社からの荷物が事務所内に溢れたりしている。
通販貧乏の道に突き進むの図 通信販売で一番凶悪なのは、「毎月違う内容のものを1つずつお届けします」とかいうタイプの物で、いつでも辞めれるという断り書きがあるにもかかわらず、「今回はイマイチだったけど、次回のはいいかもしれない・・・」とか言いながら止めもせず、結局最終回の納品を終え、一度も使う事なくお蔵入りしてしまうものがあったりして、「一体何のために買ったの?」と自問自答してしている人もいる。
 先に書いた年間10万円以上の人は、「カタログ見ると必要なさそうな物でも買わなきゃいけないような気になるの」と話してくれた。ここまでくると中毒である。そしてまた注文書に必要事項を記入していたりする。
 かくいうあたしも、親がいる頃には通信販売を極端に禁止されていた反動が今更来てしまったのか、むやみやたらではないけれど、やはり注文してしまったりする。一度だけ支払い時に顔が青くなってしまった事があったので、最近はなるべくカタログを見ない様にしている。「この会社に入ったら通販貧乏になるよ」と引継ぎの先輩に言われた時は「そんな風にはならないもん」とタカを括っていたけれど、に交わればなんとやら。せめて「通販破産だけはしない様にしようね」と、言いながらも、この前届いた秋冬もののカタログがどうしても気になったりして・・・・・・




(C)1996-2001 Electric Artbox All-round Laboratory
Presented by Maki "PPCal" Miyahara
E-mail:cal@bf.mbn.or.jp