各種断熱素材〜ファイバー・ボード(通し番号06ページ)

いろいろ使える断熱素材

布のように加工してあるファイバー 断熱ボード〜サイズはいろいろ
断熱材と呼ばれる分野も様々な製品があります。素材の材質や、形状等
用途によってかなりのバリエーションがあります。一つの傾向として、綿の
ような柔軟性に富むものと、ボードのように形状が決まっていて、切断加工
が容易なものとに区別されます。さらには、不定形耐火物のような材料に
加工されたもの(ファイバーキャスト)があります。

綿状のものは、本当に綿状のままのもので、充填用に使われるものと、
上記のように布のように加工してあって、充填や保温、レンガの隙間の
収縮膨張調整として使われるものがあります。後者をブランケットと呼ぶ
場合もありますが、布の厚さ、サイズ等によってバリエーションがあります。
また、慣れない方が見落としやすいのが、綿の充填密度の違いもあります。
簡単に言えば、一定の面積を300本の綿で編むか、500本の綿で編むか
という違いです。見た目は全く一緒なので注意が必要です。
ボードは、サイズ、厚みによってバリエーションが分かれます。窯の形状、
そして設計上で決まってくる熱伝導の値で、厚みを決めていきます。

断熱材の効用
赤色:炉内部(熱)
黄色:目地(モルタル)
緑色:ケーシング(鉄)
水色:断熱材
断熱材がないと・・ 断熱材有
上図は、耐火レンガ積みの炉の燃焼を模した図ですが、モルタル目地(黄色)
がなんらかの状況下で欠損(目地切れ)した状態を表しています。断熱材が
ない状態(左図)では、熱が、直ちにケーシングに到達し、仮にこの炉が屋外
に設置してあった場合、熱と雨等の水分によって、ケーシングはスグに
腐食
するばかりか、
火傷の危険性もあります。しかしながら、間に断熱材が入って
いれば、こうした事態になっても、断熱材が防波堤の役割を果たす訳です。
炉材を組み合わせるという事は、熱伝導の係数を計算するのと同時に、
構造的に起こりえる事態に、どう対処するかという知恵や工夫を活かす
という事でもあるわけです。

断熱材の効用その2〜レンガは動く
もうひとつ炉壁で起こる重要な現象が、「膨張・収縮」です。バーベキューや
パン・ピザ窯のような比較的低温ならともかく、1000℃を超える条件下では、
温度の上昇と共に、レンガは膨張します。1つのレンガが1ミリ膨らんだと
しても10コ並んでいれば1センチ移動するという計算になり、膨らむ場所が
なければ炉内にレンガがセリ出してきたり、ケーシングに圧力がかかって
歪んだりします。こうした膨張収縮を受けるために、レンガ積みの時に
一定間隔で膨張綿を入れます。もっとも、こうした綿を挟む場所は、レンガの
膨張を食い止める為に挟むのですが、綿を挟む場所から、前述の目地切れ
のような状況も考えられますので、そうした状況を加味しながら、裏に
「バックアップ」のための裏張りレンガ(断熱材)を施工するのです。