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このページに記載されている主な内容
・不定形耐火物(キャスター・キャスタブル)の概要
・キャスタブルとは
・施工のポイント
・プラスティック耐火物(プラスト)

キャスタブル混練中(ミキサー) キャスタブル混練中(トロ箱で手練)

不定形耐火物とは、読んで字の如く、形を変えることの出来る耐火物です。耐火レンガは
加工は出来ますが、基本的に「レンガ積み」というように、積んでいく施工ですが、不定形
耐火物は「流し込む」「塗りこむ」「吹き付ける」「埋める」といった不定形ならではの施工が
可能で、いたるところに施工できる可能性があります。不定形耐火物の代表格として上げ
られるのが、キャスタブル(キャスター)と呼ばれるものと、プラスト(プラスティック耐火物)
と呼ばれるものです。まずは、キャスタブルについて説明をしましょう。

キャスタブル耐火物(通称キャスター)は耐火物
として代表的な「アルミナ」を主成分としたものに
骨材を混ぜて、そのまま施工出来るように製品化
されたものです。言い換えれば耐火性のある
インスタントセメントと言う事が出来ます。
施工する場合は、砂など混ぜず、そのまま水と混練
した後、直ちに施工(流し込む等)するだけです。
その配合によって高強度・高耐熱性・耐酸性を
持たせる事が出来るため、様々な種類があります。

キャスタブル耐火物の最大の利点は、形が自由に形成出来るという点に
あります。
流し込むタイプの他に、塗りこみや吹き付けるタイプもあります。
耐火度を基準とした番手がありますが、使用される用途によって、様々な
タイプがあります。例えば、耐酸性の特色を備えた耐酸キャスタブル、
断熱を目的とした断熱キャスタブル、ジルコンや炭化珪素を原料とした、
強固な強度を特色としたもの等で、各メーカーによって独自の配合があり、
実に多くの種類が市場に出回っています。ホームセンター等でも、ごく稀に
見かける時がありますが、製造元がよくわかなないようなものも多いので
沢山の種類がある分野ですので、よく確かめられて選ばれた方が心配が
ないと思います。

例えばの話ですが、キャスタブルはインスタントセメントに似てると説明
しましたが、砂の代わりに入っているのが
骨材と呼ばれるものです。
上記写真の製品は当社の親戚筋にあたる会社で製造されていますが、
骨材の粒度(粒の大きさ)によって、同じ13番であってもA〜Eと区別を
しています。「ここの施工には
粒度が荒くて強度が出るタイプを使おう!」
という場合もあれば、「ここの施工場所は狭くて入組んでいるから、
しっかり
充填が出来る粒度の細かな
ものを使用しよう!」というケースもあるわけ
です。施工条件に合わせて様々なタイプが出ているわけですから、
コストパフォーマンスと合わせて、条件にあった炉材を選びたいものです。

塗りこみタイプは、独特の粘りがありますから、例えば炉壁の補修等にも適して
います。薄く広範囲に施工したい場合は吹きつけタイプですが、これは専用の
コンプレッサーがないと素人の方には無理だと思います。

施工実例〜スタッドピンの併用

紫色:天井の場合はアングル
    パイプ・チャンエル
    (金物)壁の場合は
    アングル・鉄板等
水色:断熱系素材
黄色:耐火キャスタブル

キャスタブル耐火物の自由な成型を活かすと、例えば上記のような施工が
可能になります。例えば天井ですが、型枠を作り、そこにキャスタブル耐火物
を流し込みます。範囲が狭い場合は、それだけでもいいのですが、広範囲に
なりますと、キャスタブルの自重で、割れたり、たれてしまいますので、図の
ような
スタッドピンと呼ばれる金物を、適度な間隔で埋め込み、金物の一方を
外枠や、アングルやパイプに取り付け、乾燥して型枠を外した後は、スタッド
ピンによって、全体を吊っている構造にすれば、キャスタブルで自在に天井が
作成出来ます。壁も同じ要領で、外壁が鉄板や、鉄骨の場合、そこにスタッド
ピンを溶接し、型枠を作って間にキャスタブルを流し込めば、壁が作成出来ます
こうした構造を利用して、例えば、壁からレンガが浮き出てこないように、部分的
にこうした構造を作る場合があり、通称「引っ張り」と呼ばれています。

プラスティック耐火物(プラスト)

耐火性の骨材を他の材料(粘土)と混ぜ合わせ、
粘土状にした製品をプラステッィク耐火物
(プラスト)
と呼びます。製品にもよるが、高温に
よって焼結し、強度を発揮します。最初から
粘土状に固化した状態なので、打ち込み等の
施工
にて使用します。従って、引力に逆らうような
施工のし辛い部分には良いと思います。

箱入り密封の状態ですので、開封後はスグ施工しなければなりません。
この炉材もメーカーによって、いろいろなタイプがあるようです。