あらためて鈴木さんの文章をみて。

 おそまつながら過去3年間のデータを整理してみて、いろいろなことを考えさせられました。そして陸上というものの奥深さを実感しています。だから一層、鈴木さんの文章には共感できないものを感じました。
 もう一度、鈴木さんの文章の内容を振り返ってみます。
 
 高校トップ級が大挙して進学する関東学生界は人材の宝庫であり、そこからマラソン王国ニッポンを担う逸材が次々育つのは当然であり、責務ですらある。しかしその一方で「高岡や永田のような選手は関東からでてこない」との指摘がある。この2人に共通するのは、高校時代にトップランナーでなかった・関東以外の大学で中距離中心の競技を続けていた・現在、国内屈指の長距離スピードランナーであることだ。
 近年「箱根」はスピード駅伝と称され、各大学1万mの平均タイムは飛躍的に向上している。28分台のタイムをもつ者は数十名にものぼる凄まじさだ。(数十名もいるのかな?筆者(花子)疑問。十数名の間違い?)しかし、本当に学生のスピードが向上しそれに伴い日本のトップ級の水準が引き上げられているのならば、世界が26分大で闘う時代に未だに27分台の声を聞くことが稀であるというのは、どういうわけか。さらにさらに5000mに至ってはまったく世界に太刀打ちできない。日本選手のスピードは決して向上してはいない。向上しているのは、圧倒的な練習量に裏打ちされるスタミナなのだ。
 世界のマラソン界では、とんでもないスピードを持った伏兵たちが次々にマラソンへ転向してきても不思議のない時代に彼らと闘う本物のスピードマラソンランナーの育成が日本マラソン界の急務となっている。高岡や永田は、幸か不幸か学生時代に20キロを越えるような距離を走る環境になく、中距離に取り組むことでスピード的な基礎を作り、5000mをしっかりと走れるランナーとなった。1万mへの以降はさらに後のことである。
 「箱根」の価値は高く評価する。たが、高校時代に1500mで活躍していた選手が、数年後にスタミナだけを増した「普通の大学生」となって箱根の華を飾ることまでを一概に手放しで喜んでいいものだろうか。
 法政は「将来がある」として徳本のリタイアを決断し、順大は故障の岩水を外してきた。彼らの将来は「箱根」の延長戦上にあるのか、それとも別のところにあるのだろうか。

 以上が、鈴木さんの書かれたものの後半の3分の2の部分です。(若干の要約はしています。)
 鈴木さんの文章の主旨は、「スピードマラソンランナーを育てるためには、5000、1万をしっかり走って、スピード的な基礎を作ること。関東学生界は、「箱根」のために20キロを越える距離を走るので、スピードが向上せず、スタミナが向上している。スタミナだけが増した「普通の大学生」が箱根の華を飾ることは喜べない」ということ、つまりは、「関東の大学生は「箱根」(20キロ超)を走るためにスピードのないスタミナのみついたランナーになる、それをしていない高岡選手、永田選手は、国内屈指のスピード長距離ランナーだ」と、わたしは理解しました。
 はたして、本当にそうなのでしょうか。
 高岡選手、永田選手がスピード長距離ランナーということは、間違いないと思いますが、だたそれは、何をもってそう定義しているのかというと、あいまいなところがあります。高岡選手は、1万、5000の日本記録保持者です。30キロは1時間29分23秒(すみません、この記録が速いのか比較するタイムがないのでわかりません)。一方、永田選手も1万も5000も高岡選手に近いタイムです。ハーフも61分台です。1万で27分台をだされたのも3年生のときです。でも、だからこの永田さんのタイムをもって、「関東の大学生にスピードがない」ことになるのでしょうか。それから、ハーフの記録についても、関東の大学生の場合、11月中旬〜下旬のハーフの大会が、箱根の学内の選考レースになり、箱根にあわす以上、2月、3月の大会で記録をというのは考えにくく、永田選手のハーフの記録をもって、関東の大学生と比較するのには、無理があるでしょう。また、高岡選手、永田選手以外で関東の大学出身の「国内屈指のスピードランナー」が、はたしていないのか、それは、過去3年間という限られた記録ですが、すでに示してあるので、そこから判断できるかと思います。
 また、鈴木さんは「スピードマラソンランナーの育成が急務であるけれど、20キロ超を走る練習をしている関東の大学生は、スピード的な基礎を作っていない(から無理)」と書かれていますが、長距離選手がすべて「スピードマラソンランナー」になるために陸上に取り組んでいるとは思えないんです。これは選手に直接きいたわけでも、なんでもなくて、長距離のエリート集団であっても、陸上への取り組みかたは、選手それぞれではないかと思います。

(すみません、ここから文体を「です、ます調(敬体)」に変えます。
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