日本陸上競技選手権大会を観戦して

なぜ日本選手権? そして金沢へ

 去年、初めて国立競技場で観戦して、やっぱり「日本選手権」は、みておかないといけないと、自明のように思っていました。日程は例年、6月第2週の金、土、日です。今年は金沢で日帰り可能です。来年はどこでの開催かわかりませんが、是非、わたしが日帰りできる場所だと嬉しいです。1泊して土日の観戦をしたかったのですが、8日に仕事が入って、わたしがDNS。このところ土曜日も必ずのように仕事が入ります。こういうご時世やし、仕方ないけど。
 京都から金沢へは、特急のサンダーバードか雷鳥で2時間強です。料金は7000円くらい。東京だと乗車時間はだいたい同じでも、片道13000円ほどしますから、交通費は半額で済みました。(結構、観戦であちこち行くから、交通費はちょっとでも安いほうがいいです。)京都を9時半頃に出たら、金沢には12時。雷鳥なので少し、時間がかかりました。ちょうど、団体客と一緒で、「やば〜」と思ったけど、全然、そんなことありませんでした。MDを聴きつつ、文庫本を読んでいたらあっという間でした。
 金沢に着いてらシャトルバスが丁度、出るところでした。「ちょっと待って〜」といえば、待ってもらえたのですが、バスの窓際に座っている人が、全員外をみていたので、この人たちの視線を感じつつ、バスに乗り込んだら、通路でまたすごい視線を感じるだろうなと思って、次を待ちました。トラック競技は13時30分からなので、まだまだ余裕です。時間があったので、コンビニに寄って50円のパンを2つ買いました。今回も家で、おにぎりを作ってきて、コーヒーとお茶はもっているので、食べ物には困りません。そんなにケチらんでもと思いますが、まあ時間に余裕があるときは、自前で準備するようにしています。
 帰りの指定をとるべきかどうか、まずはかなり迷ったのですが、わたしはどうも時間が決められていると精神的に窮屈になるので、とりませんでした。この判断が間違っていたのですが、それも自分らしさのあらわれなんで、まぁいいです。
 12時30分にバスに乗って、20分くらいで競技場に着きました。駐車場がすごく広くてびっくりしました。「石川県西部緑地公園陸上競技場」ということなので、公園一体のどこかに競技場があるということなんでしょう。バスは競技場の前に停められました。シャトルバスはこれだからありがたいです。チケットを買って、中に入ってプログラムを買いました。受付は地元の高校生なんでしょう。とてもフレッシュでいい感じです。抽選があったので、くじをひくと2枚とってしまいました。そのうち1枚は当たっていたのですが、それをそのまま引くのはあまりにずるいので、手を中にいれてもう1回、くじをひきなおしたらハズレでした。だって、フレッシュ高校生に「あのおばちゃん、ズルした」と思われるのはイヤやから。この前、大阪GPに行ったときは、ガラガラの抽選でTシャツ当てたから、余裕なんです。でも、あの大阪GPの抽選にあたったのは、びっくりしました。抽選できるのは、招待券をもっている人だけで、わたしはもらった招待券で抽選して、Tシャツを当てたのですから。だから、今日は、あたりくじを返す余裕があったのです。
 プログラムは3冊。本体と3日目のディリープログラムと1日目のディリープログラムです。ディリープログラムには、2日目の結果も載っているし、本体も情報の宝庫です。それに今回は「観戦ポイント」が書かれていて、それもかなり参考になります。(どなたが書いてられるのかと思ったら、寺田さんでした。)こういうポイントは是非、必要だと思います。陸上競技に関わっている人だけがわかるのでなく、初めて陸上を観るという人でも、ちょっとの情報が、観戦をおもしろくします。こういう情報を積極的に流していくことが大切だと思っています。

(02年6月7〜9日 石川県西部緑地公園陸上競技場)

観戦はじまり

 バックスタンドに向かって右側がわたしの観戦ポイントです。なんとなくここと決めています。そこの最前列に場所を確保しました。フィールドでは、12時から女子のハンマー投げが、バックスタンドでは男子の棒高飛びが始まっています。棒高跳びは、去年、初めて近くでみてその迫力にびっくりしたので、今年も観たかったのですが、一人で観戦のため、戻ってきたときにここの場所がとられてしまったら悲しいので、ときおりスクリーンに映し出される映像で、ガマンです。13時からは男子走り幅跳びも始まりました。
 13時30分、いよいよトラックn始まりです。
 最初は女子200メートルの予選。1組に中央大学の林由佳さんが走られます。でも、観戦場所からは遠くて、ほとんど見えませんでした。むしろスクリーンの映像のほうがよく見えるくらいです。林さんは見事、予選突破、決勝へすすまれました。2組では新井初佳さんも予選突破です。
 続いて、男子100の予選です。3組で各組2着とタイムのいい2人の8人にしぼります。2組に登場の朝原さんは余裕でした。
 次は男子800メートル。予選はすでに終わっていて今日は決勝です。陸上競技のどれが楽でどれがしんどいということはないと思いますが、800メートルというのは、絶対、しんどいと思います。約1分50秒の勝負ですから、長すぎます。すごい種目やと思います。優勝は笹野浩さん(富士通)です。
 そして次は女子の800メートルの決勝。中大から遠藤瑠美子さんが予選を勝ち抜いて、決勝にすすまれています。800メートルはトラックを2周してくれるので、さっきの男子800から、ようやく観戦しているなぁという実感がもてるようになりました。遠藤瑠美子さんは、兵庫リレカのときにも目撃していますが、とっても美しいのです。輝いています。ユニホーム姿もとっても美しいですけど、普段ももっと輝いてられると思います。うっとりするくらい美しい遠藤さんに檄がとんでいて、中大関係者かなと思って観客席をみたけどよくわかりませんでした。優勝はUFJの松島朋子さんでした。

 続いて男子200M決勝。短距離には疎いわたしでも、決勝に残る選手はだいたい知っている名前でした。兵庫では為末さんがエントリーで、騒々しい感じでしたが、今日はそういうことはありませんでした。短距離のスタートは緊張します。しなくてもいいのに、息、止めていますから。優勝は田端健児さん。貫禄です。
 男子200Mが始まる前から、競技場全体が、ちょっとざわめく感じになったのは、男子ハンマー投げが始まるからです。競技の前の試技のときから室伏選手が投げるときは、歓声が沸きます。ハンマー投げにも成田陽道さんがエントリーです。また、わたしから一番遠い向こう側では、女子の走り高跳びも始まっています。
 さて、ここまで観ていてひとつ困ったことが。今日に限らず陸上観戦で困るのはトイレです。競技と競技の間をうまくぬっていかなければなりません。また1人の場合は、荷物の管理と場所確保という相反する事態になります。こういうときのために、シートは必需品ではないかと、あらためて思いました。座席に上着とプログラムを置いて、うしろで観戦されている女性に、「すみませーん」といういうと、わたしがなにが言いたいか察してくださっていて、先に「荷物みておきますよ」と言ってくださいました。ありがたいことです。だれもとるよな人はいないけど、でも、プログラムがなくなったら悲しいですから。トイレは、メインスタンドのほうまでいかなければなくて、トイレの前にどこかにチームが場所をとっていました。いろんな競技会にいきますが、陸上というのは、選手だからといって特別扱いはなくて、「勝手場所を確保して、かってにお着替え」という感じです。トイレの前に陣取っているチームはワコールと判明。ワコールでもこんなとことはと、なんか気の毒になりましたが、またこれが陸上のいいところかもしれません。トイレに入って手を洗っていたら、となりにどこかで見た顔が。化粧直しをしていて、となりの鏡をみるとなんと福士選手でした。国内最強のトラックランナーじゃないですか!そんなランナーと競技前にトイレで遭遇するなんて、なんと無防備な。でも、これでネタひとつ増えたわと結構、満足してスタンドに戻りました。荷物をお願いしていた方にお礼をいって、再び観戦が始まります。
 フィールドでは、室伏さんが投げるときは、すごい歓声です。2位に10メートル以上、差をつけているので、実力的には当たり前でも、でもせっかくだから室伏さん以外にも注目したらいいのにと思いました。でも、室伏さんの投擲は、別格でした。ハンマーのとぶ放物線が別物でした。
 女子400Mハードルでは、吉田真希子さんが日本新で、おおいに盛り上っています。2位の江口幸子さんは、確か去年、高校生だったように思います。所属が「横浜陸上クラブ」なので、実業団や大学に所属せずに競技を続けられているようでした。女子200Mは、新井初佳選手の5連覇だとか。貫禄です。中大の林由佳さんは決勝では8位でした。
 そして、男子100Mです。22名が予選を経て8名に。決勝に残った選手をみると、わたしでも知っているいる名前がほとんどでした。注目はなんといっても朝原選手。9秒台にもっとも近いといわれています。予選はほとんどの選手が10秒40台ですが、朝原選手は10秒11。この数字だけで、貫禄を感じます。100Mは、スタートが緊張です。競技場が静かになる、この全体の一体感は、なかなかいいものです。わたしの見ているところからは、レース経過はよくわからないですが、フィニッシュしたあとの表情で、朝原選手の勝利がわかりました。走り終えた選手が一斉に、わたしの座っているところの上にあるスクリーンを見るので、なんか変な感じです。わたしもスクリーンをみて、レースの詳細を確認しました。朝原選手が10秒05で優勝。やっぱりスゴイです。
 100Mの余韻のなか、男子5000の準備が始められます。
 

 男子5000については、詳細レポートを。
 

男子5000M
花子のノートtop

 女子5000。実は男子5000を観たあとなので、女子に関してはかなり気が抜けてしまっている。もう何もメモもとらずに、せれんさんのページに時々登場されるFRIENDRYさんの応援に集中することにしました。事前に「お名前呼んで、応援しますね」と書き込みしておいたので、前を通られるときに何回か、「○○さん、ファイト〜」と声をかけました。わたしの声って、全然、通らないから、彼女に届いたかどうかは不明です。
 レースは途中から抜け出した福士さんが、そのまま最後までぶっちぎって1位でした。福士さんは、第2コーナーのところで手をだらんと下にされていました。わたしの前に女性コーチ?がいて、檄をとばしていました。福士さんの優勝は間違いないと思いつつ、日本記録の更新も期待されましたが、記録には届きませんでした。飛び出して、そのまま最後までという、福士さんの新しいレースパターンになるのでしょうか。
 FRIENDRYさんは、大きく遅れることなく、中盤で田村育子さん(グリーバリー)につこうとされているところが印象的でした。このレースで自己新を出されたようで、そういうときに応援できて、とっても嬉しかったです。
 福士さんは、フィニッシュされても息をきらすことなく、おどけて観客に応えています。兵庫リレカのときも同じような感じでした。競ってのレースも苦しいでしょうが、1人旅のレースも決して楽ではなかったはず。それなのに、わたしがトイレであったときと、全然、かわらない福士さんでした。
 1万の日本記録は、渋井陽子さんが更新されました。是非、福士さんには、5000ないし1万のタイトルをとって欲しいと思います。
 そのタイトルホルダーの弘山晴美選手は、中盤からかなり遅れる展開になってしまいました。1万を回避したにもかかわらず、残念な気がしました。シドニー五輪のマラソンの代表選考に翻弄されてしまったようなところはあるけれどもそれに潰されてしまったというようなことにはなって欲しくないと思います。今後、どういう種目を志向していかれるかわかりませんが、絶対、がんばって欲しい選手です。

日本選手権観戦記