U 受付からスタート

 バスを降りてから受付会場までは、もう何度も通った道なので、まったく迷うことがありません。というより人の流れに沿っていけば、自ずと会場へ行けます。いつものところに、いつもの店が出ている、もうすっかりなじみになった道を通っていきます。受付は登録と未登録、男子、女子とナンバーカードで分けられています。男子のところは人数が多いので、列ができているところもあるけれど、この点、女子はやはり少数派なので、並ぶことなく受付ができます。
 いつものところで受付を、、、、と思って行ってみると、そこは登録男子のところでした。今年は場所が変わっていたのです。受付場所を順にみていって、未登録女子のところでナンバーカードとチップをもらって、参加賞のTシャツを貰いました。篠山のTシャツ、デザインがいいので好きなんですけど、でも、以前は「立杭焼き」のぐい呑みだったんですよね。それを貰うのが楽しみの一つやったのに、ちょっとというかかなり残念です。
 そのあとスペシャルを置くのですが、これがバックの中のほうに入れてしまって、なかなかでてこなくて困りました。地面が濡れているので、下に置くわけにもいかず、片手でバックをもって片手で探しても、なかなかみつからず、やっとのことで3つ、探しあてて、15キロ、25キロ、35キロの3箇所にゼリーに飴チョコを巻きつけて、ナンバーを書いて、託しました。35キロまで、わたしは走らせてもらえるのだろうか、いや、備えあれば憂いなし、などと考えながら。

 神戸から篠山入りされている亀さん(今回はオプション参加)に連絡をとると、会場からは随分と遠いところにいらっしゃいました。亀さんには、2月の兵庫の郡市駅伝の結果や、市尼の金刃くんの記事が載っている神戸新聞をとってもらっていて、それを当日、もってきていただいていました。わたしは、できれば女子更衣室(篠山小学校の体育館)で、スタートまでの時間を過ごしたかったので、そのことを告げると、亀さんは篠山小まで新聞をもってきてくださることになりました。オープン参加なので余裕だそうで、ご厚意に甘えさせてもらうことにしました。
 篠山小学校までの道程も慣れたもので、迷わずにいけました。体育館のの様子も例年通り。いつもわたしは右手の奥に場所をとるのですが、それも例年、同じところです。体育館のなかは、シートが敷いてあるけれども、「自分の場所」を確保するのに、自分でもってきたシートをその上に敷いて、荷物を広げます。自分のシートの上なら、荷物が広げても大丈夫ですから。
 亀さんが来られたら、おやつを渡そうと思って、もってきていたチョコレートと蜂蜜飴と黒飴を袋に入れて準備していると間もなく、亀さんから電話。もうすぐ近くまで来られているので、おやつ袋をもって体育館の外に出ました。新聞を受け取って、お礼を言っておやつ袋をお渡ししました。10キロ付近からオープンで合流されるってことでしたが、わたしは遅いからもう会えないかもしれないかなぁ、リタイアバスに乗ってるかも、などと言っていました。新聞記事、とっておいていただいてありがとうございます。そしてまた、更衣室のところまでもってきていただいてありがとうございます。

 篠山小学校には、トイレが4つあって、以前は水洗でなかったけど、ここ数年のあいだに水洗トイレになったので、それがいいところです。4つあれば、少々、並んでもそれほど待たされることはありません。
 出走前のトイレは、かなり気を使います。トイレに行けば、最低でも3分はロスします。まして、ガマンできなくなったら、少々、並んでいてもそこで済ませないといけないから、出走前はできるだけ何度もトイレに行くようにしていました。この日も、1.5時間ほどのあいだに3回もトイレに行きました。
 体育館では、時間があったので、ゆっくりと準備をしました。
 ナンバーカードをつけるときは、間にプログラムをはさめば、いがまないし、安全ピンを貫通させてしまうのも避けられるます。
 11時スタートなので、まずガス欠対策をと、作ってきたお握りやバナナ、ゼリーを飲んで、とにかく空腹だけは避けようと思いました。あまり食べたくないけど、無理矢理に押し込んでいるという感じでした。でも、ここで食べなかったら、バテると言い聞かせて、食べ物を流し込みました。
 それからもうひとつ、大切なことがあります。
 関門時間をボールペンで手に書くのです。手のひらに書いたら、消えてしまうので、手の甲に書きました。
 距離と時間を書き込んでいると、だんだんとこのレースが後半、苛酷になってしまうことを予感してしまいました。
 大会要項には、下記のように書いています。
   篠山城跡マラソンコースの関門の時間閉鎖について
     9.8キロ  午後12時30分
    21.5キロ  午後1時45分
    29.5キロ  午後2時50分
    36.2キロ  午後3時25分
    ゴール   午後4時10分

 スタートが公認が午前11時で未公認が11時10分なので、このような書き方になってしまうのですが、これではよくわからないんですよね。
  未公認のわたしだと次のようになります。
   9.8キロ   1時間20分
  21.5キロ   2時間35分
  29.5キロ   3時間40分
  36.2キロ   4時間15分
  ゴール    5時間

 篠山の関門時間の不親切なところは、たとえば9.8キロをギリギリで1時間20分で通過しても、次の21.5キロは2時間35分には同じ調子で走っていては、到底、間に合わないということです。その点でいうと、福知山マラソンは、関門を通過していけば少しずつペースが落ちても、5時間で完走できるような設定になっているので、とっても親切だと思います。もっとも、関門時間に不平を言う前に、ちゃんと練習して関門時間を気にしないでも完走できるようになんなさい、ということなんですけどね。
 
 まずは29.5キロを3時間40分で通過しては、次までの6.7キロを35分で通過しないといけないので、それは到底無理です。だからここの通過を3時間25分くらいになるようにしなければなりません。スタートロスを5分として、最初の5キロはなかなか進まないとしてと、考えていくとキロ7分ではダメで、6分半くらいでいくつもりで、だんだんと落ちてくるくらいに思っておかなければなりません。
 まずハーフくらいまでを6分30秒台でいくこと、そしてそのあとの10キロをできるだけ粘ること、それを考えました。篠山のコースはハーフが折り返しでなく、27キロくらいが折り返しなので、20キロから25キロ、25キロから30キロでどうもダレてしまって力を抜いてしまって、ズルズルと遅くなっていくということをわたしはこれまでに経験しているので、まず30キロを3時間25分でいくことを目標にしました。そのあとは、極端にペースが落ちなければ大丈夫ですから、5時間分の体力を気にしながら、その目標をクリアすることを第一に考えました。

 そんな「完走計画」を立てながら、トイレに行ったり、何か食べたり、ワセリン代わりの馬油やスクワランオイルを塗ったりとしてスタート前を過ごしました。そうしていると、オカッチさんから電話が入って、「頑張りましょう」「わたしはたぶんリタイアバスですから」と、話していました。さぼちゃんも会場入りをしているということ、どこかで会えるかなと思いつつ、緊張したり、リラックスしたりと不思議な時間を過ごしました。

 開会式は10時40分からでした。今日のゲストは昨年に続いての有森祐子さん、それから東洋大学の監督の川嶋伸次さんで、わたしはやっぱり川嶋監督のお姿を拝見したく、よく見える場所にいたかったので、10時過ぎには、グランドに出ていました。
 篠山マラソンでは恒例?になったスタート位置の場所とり。何年か前からブロック別になったことや参加人数がそれほど多くなくなったこともあって、以前のような殺気だった感じはありませんでした。それにこの日は、なんといっても暖かかったですから。寒風の吹く中、雪の降る中、ひたすらスタートまでまるで「行」のように耐えて待ったこともありますから、それに比べたら、穏やかになったものです。
 スタートは申告タイムで大雑把に1〜3ブロックに分けられています。これも以前は男子の後ろに女子だったのですが、「それはひどい! 男子よりペースの速い女子もたくさんいる」とランナーズへ投稿したこともきっかけになってか、男女混合で待ちます。
 わたしはスタートロスのことがあるから、あまり後ろにいってはいけないけれど、スタート位置よりもそのあとの走り方のほうが大切と思って、川嶋監督が見えるところにいました。2年前は最後尾スタートだったけれど、そのあと調子よく走って、4時間30分でゴールできたので、スタートロスと完走できたかどうかというのは、あまり深く考えないようにしています。
 でも、せっかく10時過ぎにグランドに出たのだから、できるだけ前のほうに行くようにしました。あとでネットタイムとグロスタイムをみたら、わたしと同じくらいでゴールした人のスタートロスは2、3分、わたしは約6分でした。もうちょっとみんな正直に申告したほうがいいように思うけど、人は人、自分は自分ですから気にしないことにします。
 開会式での有森さんの言葉です。
  「普段、やっていないことはできません。ふだんやっているより少し抑え目に入って、調子がよければだんだんとあげていく」ということでした。
 抑え目かどうかは別として、「普段、やっていること以上のことはできません」というのは、何事にも通じると思います。
 開会式でわかったことですが、有森さんと川嶋監督は、日体大の同級生だそうです。有森さんは日体大時代、川嶋さんのご活躍は眩しいものだったと。でも同期でこうやって長距離の世界で活躍されているというのは、すごいことだと思います。
 と、まぁ開会式もそれなりに楽しんで、スタートを待っていました。

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