山下りの永井 区間新 (青東駅伝第2日 16区 埼玉チーム本田技研永井選手)

 紅葉に染まる安比高原を駆け下る一斉スタートの16区。埼玉の永井は走っている間、ずっと区間新を出すことだけを考えていた。
 下り坂に自身があるから、最初から「突っ込んだ」。飛ばしに飛ばして従来のタイムを28秒縮める区間新に、永井は「気持ちで勢いを付けた」と振り返った。
 中大の選手だった昨年の箱根駅伝は、復路の六区を駆け下りて区間賞。今年も区間3位だった。そのプライドもあった。山下りの難しさは下りおわった後の平たんな道にある。急勾配の後では、上り坂に感じてしまうからだ。
  「みんな山を下りた後に足が止まるらしいですね」と平然と話す永井。「区間新も出せたし、仕事は果たせた。”山下りの永井”というニックネームでも作りますか」と軽口が飛び出すほどの快走は、ここで1分2秒の差を付けられた東京の安田監督を「16区が痛かった」と嘆かせた。
 この日のレース前、埼玉の青葉総監督は半ばあきらめの境地だった。トップの東京との差は5分45秒。それがまず9区の三行(みつゆき 東洋大)が区間1位で勢いを付け、15区の田上と16区の永井が区間新リレー。
 11人全員が区間5位以内という内容に、青葉総監督は「永井君がエースの実力を出して突き放してくれたし、完璧に近いレース」。
                          読売新聞 大塚貴史 10月29日

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